翌朝、ダリル・セイヤーズ・ドーマーは珍しく早起きしてポール・レイン・ドーマーとライサンダー・セイヤーズの早朝ジョギングに参加した。参加理由を言わずにただ一緒について走るので、ポールは訝しがったが、敢えて訳を尋ねなかった。ライサンダーの方はX染色体の父親の気まぐれには充分慣れっこなので、父親がばてないか、それだけを心配した。
「案外早朝に走るのも気持ちが良いもんだな。」
ダリルが息を弾ませながら感想を述べた。ポールがチラッと横目で彼を見た。
「もう息が上がったのか?」
「歳なんでね・・・」
「俺より1日若いくせに何を言う。」
走り終わる頃に、ダリルは早起きの目的の人物をやっと見つけた。
「先に帰っていてくれ。すぐに戻るから。」
ポール達の返事も聞かずに彼はルートを逸れてジムから出て来たネピア・ドーマーのそばへ走った。
朝の挨拶をすると、局長の第1秘書は素っ気ない返事をしただけで、シャワーで湿った髪を朝日で輝かせながらアパートへ足早に戻ろうとした。ダリルは彼の不機嫌な顔に慣れていたので、気にせずに用件を述べた。
「局長に個人的なお話があります。休み時間で結構ですから、局長の手が空いた時を教えて下さい。急ぎではありません。」
ネピア・ドーマーはダリルがいつも厄介事を持ち込む男だと認識していたので、局長を煩わせる用件ではないかと怪しんだ。
「用件の内容を簡単にでも教えてくれませんか? 局長はお忙しいのです。」
仕方が無い、ダリルは正直に言った。
「脱走中に住んでいた場所を売り払いたいので、購入希望者と面会する必要があるのです。場所はドーム空港のビルで充分だと思うので、ゲートの外に出る許可を頂きたい。」
「電話やメールで済ませられないのですか?」
「購入希望者はライサンダーと娘を同居相手に希望しています。」
ネピア・ドーマーが立ち止まって、まともにダリルを見た。驚いていた。
「どう言うことです?」
「ですから、それを説明する為に、局長にお会いしたいのです。」
ちゃんと簡単に教えたじゃないか。詳細をここで求めるつもりか?
ダリルはお堅い先輩に心の中で毒づいた。
ネピア・ドーマーは渋面をしたが、頷いた。
「朝食の後で局長に伝えておきます。」
「よろしくお願いいたします。」
ダリルは精一杯愛想良く微笑んで、第1秘書から離れた。
コースに戻ると、まだポールが1人で待っていた。クローン育成施設に行くライサンダーを先にアパートに帰したのだ。
「まだ居たのか?」
とダリルが言うと、彼がニヤッと笑った。
「君がネピアに喧嘩を売りに行ったのかと、気を揉んだのさ。」
「危うく売りたくなったけどね。フランシスに私も会いたいので、局長に外出をお願い出来ないか、頼みに行っただけだよ。」
するとポールは言った。
「それじゃ、俺も一緒に行くと伝えてくれよ。名目上は君の監視だ。」
「名目上? 本心は?」
「俺だって妹に会いたい時があるさ。」
「案外早朝に走るのも気持ちが良いもんだな。」
ダリルが息を弾ませながら感想を述べた。ポールがチラッと横目で彼を見た。
「もう息が上がったのか?」
「歳なんでね・・・」
「俺より1日若いくせに何を言う。」
走り終わる頃に、ダリルは早起きの目的の人物をやっと見つけた。
「先に帰っていてくれ。すぐに戻るから。」
ポール達の返事も聞かずに彼はルートを逸れてジムから出て来たネピア・ドーマーのそばへ走った。
朝の挨拶をすると、局長の第1秘書は素っ気ない返事をしただけで、シャワーで湿った髪を朝日で輝かせながらアパートへ足早に戻ろうとした。ダリルは彼の不機嫌な顔に慣れていたので、気にせずに用件を述べた。
「局長に個人的なお話があります。休み時間で結構ですから、局長の手が空いた時を教えて下さい。急ぎではありません。」
ネピア・ドーマーはダリルがいつも厄介事を持ち込む男だと認識していたので、局長を煩わせる用件ではないかと怪しんだ。
「用件の内容を簡単にでも教えてくれませんか? 局長はお忙しいのです。」
仕方が無い、ダリルは正直に言った。
「脱走中に住んでいた場所を売り払いたいので、購入希望者と面会する必要があるのです。場所はドーム空港のビルで充分だと思うので、ゲートの外に出る許可を頂きたい。」
「電話やメールで済ませられないのですか?」
「購入希望者はライサンダーと娘を同居相手に希望しています。」
ネピア・ドーマーが立ち止まって、まともにダリルを見た。驚いていた。
「どう言うことです?」
「ですから、それを説明する為に、局長にお会いしたいのです。」
ちゃんと簡単に教えたじゃないか。詳細をここで求めるつもりか?
ダリルはお堅い先輩に心の中で毒づいた。
ネピア・ドーマーは渋面をしたが、頷いた。
「朝食の後で局長に伝えておきます。」
「よろしくお願いいたします。」
ダリルは精一杯愛想良く微笑んで、第1秘書から離れた。
コースに戻ると、まだポールが1人で待っていた。クローン育成施設に行くライサンダーを先にアパートに帰したのだ。
「まだ居たのか?」
とダリルが言うと、彼がニヤッと笑った。
「君がネピアに喧嘩を売りに行ったのかと、気を揉んだのさ。」
「危うく売りたくなったけどね。フランシスに私も会いたいので、局長に外出をお願い出来ないか、頼みに行っただけだよ。」
するとポールは言った。
「それじゃ、俺も一緒に行くと伝えてくれよ。名目上は君の監視だ。」
「名目上? 本心は?」
「俺だって妹に会いたい時があるさ。」