「駄目だ!!」
ケンウッドは思わず怒鳴ってしまった。ハイネ局長が予告なしに長官執務室に現れるなり、ジェリー・パーカーをドームの外に出す許可を求めたからだ。しかも理由は、サタジット・ラムジー殺害容疑者の特定だ。
「気でも狂ったか、ローガン・ハイネ! パーカーは貴重な地球人のオリジンだぞ! ドームの外に出して逃げられでもしたらどうする? 否、FOKやラムゼイの残党に拐われたりしたら一大事じゃないかっ!」
思ったことを早口で言ってしまってから、ケンウッドは自身が大声を出していたことに気が付いた。ハイネに大声で怒鳴りつけるのはご法度だ。幼少期から大事に育てられてきた老ドーマーは、大声で叱られた経験がない。だから成人してからも、誰かが近くで不意に大声を出すと怯えるのだ。
果たして、ハイネは硬い表情でケンウッドを見返して立っていた。だがその目は固い決意を保っていることを示していた。真っ直ぐ長官を見つめているのだ。ケンウッドは自身が狼狽えていることを隠そうと努力した。声のトーンを落として話しかけた。
「つまりだ、ハイネ、パーカーは地球にとって大事な人物だ。まだこの先数年は地球人の父親としてここで頑張ってもらわねばならない。残虐行為を平気で行う悪党と直接対峙させる危険は冒せないのだよ。」
「何もパーカーを一人で外に行かせるとは言っておりませんが。」
とハイネが言い返した。ケンウッドは心の中で身構えた。さぁ始まったぞ、と呟いた。怯えさせられた仕返しに、ハイネはとても意地悪になる。故意に遠回しの言い方をしてこちらを混乱させるのだ。
ハイネが続けた。
「重要人物のジェリー・パーカーが一人で外に出るのが危険なのでしたら、もう一人一緒に行かせてみては如何ですかな? 普通のドーマーやコロニー人の学者ではなく、もう一人重要な人物を同行させるのです。」
「もう一人の重要人物?」
ケンウッドは考え込んだ。そんな人間がいたか?
ローガン・ハイネがまるでからかうかの様な口調で答えを言った。
「ダリル・セイヤーズ・ドーマーを使いましょう。」
ケンウッドは思わず怒鳴ってしまった。ハイネ局長が予告なしに長官執務室に現れるなり、ジェリー・パーカーをドームの外に出す許可を求めたからだ。しかも理由は、サタジット・ラムジー殺害容疑者の特定だ。
「気でも狂ったか、ローガン・ハイネ! パーカーは貴重な地球人のオリジンだぞ! ドームの外に出して逃げられでもしたらどうする? 否、FOKやラムゼイの残党に拐われたりしたら一大事じゃないかっ!」
思ったことを早口で言ってしまってから、ケンウッドは自身が大声を出していたことに気が付いた。ハイネに大声で怒鳴りつけるのはご法度だ。幼少期から大事に育てられてきた老ドーマーは、大声で叱られた経験がない。だから成人してからも、誰かが近くで不意に大声を出すと怯えるのだ。
果たして、ハイネは硬い表情でケンウッドを見返して立っていた。だがその目は固い決意を保っていることを示していた。真っ直ぐ長官を見つめているのだ。ケンウッドは自身が狼狽えていることを隠そうと努力した。声のトーンを落として話しかけた。
「つまりだ、ハイネ、パーカーは地球にとって大事な人物だ。まだこの先数年は地球人の父親としてここで頑張ってもらわねばならない。残虐行為を平気で行う悪党と直接対峙させる危険は冒せないのだよ。」
「何もパーカーを一人で外に行かせるとは言っておりませんが。」
とハイネが言い返した。ケンウッドは心の中で身構えた。さぁ始まったぞ、と呟いた。怯えさせられた仕返しに、ハイネはとても意地悪になる。故意に遠回しの言い方をしてこちらを混乱させるのだ。
ハイネが続けた。
「重要人物のジェリー・パーカーが一人で外に出るのが危険なのでしたら、もう一人一緒に行かせてみては如何ですかな? 普通のドーマーやコロニー人の学者ではなく、もう一人重要な人物を同行させるのです。」
「もう一人の重要人物?」
ケンウッドは考え込んだ。そんな人間がいたか?
ローガン・ハイネがまるでからかうかの様な口調で答えを言った。
「ダリル・セイヤーズ・ドーマーを使いましょう。」