リプリー長官は結局メイ・カーティスとジェームズ・オコーネル両研究員に1週間の休職期間を与えた。彼等は地球外に出て、互の今後の身の振り方を決め、1週間後に地球人類復活委員会に報告することを命じられた。
会議が解散して、女性達はメイ・カーティスを守るかの様に取り囲み、議場から出て行った。オコーネルも友人数名と集まって何か相談していたが、やがて出て行った。友人達の1人が輸送班に連絡を取る声が聞こえたので、アパートを引き払う準備をするらしい。
遺伝子管理局長はクーリッジ保安課長と一緒に議場を出て行こうとしていたので、ケンウッドは辛うじて追いついた。
「君達の時間を潰して申し訳無かった。」
開口一番、彼はそう言った。ハイネはニコリともしないで副長官を見た。
「男女間の問題を会議に持ち込むのはどうかと思いますがね。」
と彼はドーム幹部の判断を批判した。クーリッジも同感の気配だったので、ケンウッドは今朝の茶番劇の説明をしなければならなかった。
「近頃若い人達の間で職場恋愛の真似事が流行っていると言う報告があってね・・・君の耳に入っていないらしいが、ロッシーニ秘書がそれらの報告をまとめて長官に提出したのが、偶然3日前だったのだ。コロニー人社会だけの問題なので、ロッシーニは遺伝子管理局や維持班総代に報告しなかったのだろう。 キーラ・セドウィック博士とヘンリー・パーシバルの結婚を羨む若者達が多くて・・・」
「しかし、セドウィック博士は勤続30年の実績があったし、丁度5度目の任期終了に合わせて退職したのだ。パーシバル博士はその1年前に退官していた。彼等の結婚は誰にも文句を言わせない状況だった。」
とクーリッジが言った。
「何よりも、ドーマー達が彼等の交際を歓迎していたんだ。若者達の恋愛ごっことは違うんだよ。」
「うん。だから、それを他の若い連中に教えるために、リプリーは会議の場を利用して大袈裟な痴話喧嘩をさせたのだ。ドーマー達は彼等に恋愛を止めろとは言わないが、不愉快に思っているとね。」
ケンウッドはハイネを見た。
「その証拠に君は怒って見せてくれただろう?」
クーリッジが驚いたふりをしてハイネを見た。
「あの口調で怒っていたのかね、局長?」
「ええ、激怒しておりました。」
とハイネがケロリとした表情で言った。そして、周囲にそっと目を配ってから囁いた。
「ドーマーはメイ・カーティスが残ることを希望していますがね。」
その「ドーマー」は単数形だったので、誰のことを指すのか、ケンウッドは考えた。ステイシー・ドーマーなのか、それともハイネ・ドーマーなのか?
ハイネはそれ以上職場恋愛の問題に言及することはなく、「では日課がありますので」と断って去って行った。
クーリッジがその後ろ姿が見えなくなってから、ケンウッドを振り返った。
「長官はまだ多くの恋愛問題の報告を抱えている様だが、どうするつもりだろうね?」
「若者達の自粛を期待するしかないでしょう。地球の外で休暇中にデートする程度で我慢してくれれば良いのですがね。」
会議が解散して、女性達はメイ・カーティスを守るかの様に取り囲み、議場から出て行った。オコーネルも友人数名と集まって何か相談していたが、やがて出て行った。友人達の1人が輸送班に連絡を取る声が聞こえたので、アパートを引き払う準備をするらしい。
遺伝子管理局長はクーリッジ保安課長と一緒に議場を出て行こうとしていたので、ケンウッドは辛うじて追いついた。
「君達の時間を潰して申し訳無かった。」
開口一番、彼はそう言った。ハイネはニコリともしないで副長官を見た。
「男女間の問題を会議に持ち込むのはどうかと思いますがね。」
と彼はドーム幹部の判断を批判した。クーリッジも同感の気配だったので、ケンウッドは今朝の茶番劇の説明をしなければならなかった。
「近頃若い人達の間で職場恋愛の真似事が流行っていると言う報告があってね・・・君の耳に入っていないらしいが、ロッシーニ秘書がそれらの報告をまとめて長官に提出したのが、偶然3日前だったのだ。コロニー人社会だけの問題なので、ロッシーニは遺伝子管理局や維持班総代に報告しなかったのだろう。 キーラ・セドウィック博士とヘンリー・パーシバルの結婚を羨む若者達が多くて・・・」
「しかし、セドウィック博士は勤続30年の実績があったし、丁度5度目の任期終了に合わせて退職したのだ。パーシバル博士はその1年前に退官していた。彼等の結婚は誰にも文句を言わせない状況だった。」
とクーリッジが言った。
「何よりも、ドーマー達が彼等の交際を歓迎していたんだ。若者達の恋愛ごっことは違うんだよ。」
「うん。だから、それを他の若い連中に教えるために、リプリーは会議の場を利用して大袈裟な痴話喧嘩をさせたのだ。ドーマー達は彼等に恋愛を止めろとは言わないが、不愉快に思っているとね。」
ケンウッドはハイネを見た。
「その証拠に君は怒って見せてくれただろう?」
クーリッジが驚いたふりをしてハイネを見た。
「あの口調で怒っていたのかね、局長?」
「ええ、激怒しておりました。」
とハイネがケロリとした表情で言った。そして、周囲にそっと目を配ってから囁いた。
「ドーマーはメイ・カーティスが残ることを希望していますがね。」
その「ドーマー」は単数形だったので、誰のことを指すのか、ケンウッドは考えた。ステイシー・ドーマーなのか、それともハイネ・ドーマーなのか?
ハイネはそれ以上職場恋愛の問題に言及することはなく、「では日課がありますので」と断って去って行った。
クーリッジがその後ろ姿が見えなくなってから、ケンウッドを振り返った。
「長官はまだ多くの恋愛問題の報告を抱えている様だが、どうするつもりだろうね?」
「若者達の自粛を期待するしかないでしょう。地球の外で休暇中にデートする程度で我慢してくれれば良いのですがね。」