日曜日の早朝、ライサンダー・セイヤーズはまだ寝ていたい父親に「おはよう」のキスをして、1人で食堂に行き、朝食を取るとJJにメールを送った。
ーーポートランドに帰る。来週また来るから、娘をよろしく。
JJは既に起床していたらしく、直ぐに返事が来た。
ーー来週はPちゃんと仲直りしてね。
喧嘩などしていない、とライサンダーは思った。レインが勝手に機嫌を損ねただけだ。
しかしJJと議論している時間はなかったので、「わかった」とだけ返信した。
そしてダリルが起きる頃にはマイケル・ゴールドスミス・ドーマーの操縦するヘリに乗ってポートランドに帰って行った。
ダリルは食堂へ行き、定時の朝食会をクラウスと共に無難にこなしてオフィスに入った。仕事を始めて半時間もしないうちに第5チームのリーダー、ジョージ・ルーカス・ドーマーから電話が入った。
「セイヤーズ・ドーマー、例のサイトを見ましたか?」
「例の? パパラッチのか?」
「そうです。どうやらまだの様ですね。」
「何か問題でも?」
「大ありですよ! 削除申請した方が良いですよ。」
端末をそのままにして、コンピュータでパパラッチサイトを開いた。「本日のトップニュース!」と文字が躍っていた。
ーー我らがアイドル、恋人を横取りされる!
ダリルはびっくりして画像を開いた。夜間の屋外撮影だから、人物の姿はそれほど鮮明ではない。しかし、その画像の下に処理をした修正画像が載せられていた。
森の中のギリシア風東屋で、キスをしている男2人が写っていた。
ダリルは唖然とした。誰も現場にいなかったはずだが・・・?
「削除は無理だ、ジョージ。このアクセス数・・・」
「ドーム内のドーマー全員が見たと言える数ですね。」
「これは何時アップされたのだ?」
「10分前ですね。」
「10分でこのアクセス数か? 信じられん・・・私だとわかるのか、この画像で?」
「髪の色でね。」
「夜間撮影だ。他のブロンドの男かも知れないだろ?」
「『我らがアイドル』の恋人は、貴方しかいませんよ。」
「しかし・・・」
「貴方なんでしょ?」
「否定しないが・・・浮気じゃないぞ。あれは冗談だ。」
「あんな時刻にあんな場所で冗談でキスしていたんですか?」
「君はポール・レイン・ドーマーか?」
「僕は、貴方とパーカーを守りたいだけですよ。」
相手がジェリー・パーカーだと言うこともばれているのか。ダリルは目眩を覚えた。
「どう守るんだ? 私からレインに弁明するしかないだろう。まったく、ジェリーのヤツ・・・」
ジェリーに電話を掛けたが、着信拒否された。緻密な計算が必要な仕事で研究室に籠もっている時は、科学者達は電話に出ないのだ。
ダリルは仕方なくポールに電話を掛けてみた。ポール・レイン・ドーマーはこちらへ帰って来る飛行機の中だった。
「外に居る俺に君の方から電話を掛けてくるなんて、珍しいな。何かあったのか?」
「くだらない画像がくだらないサイトにアップされていると知らせたくてね。」
ちょっと間をおいて、ポールが尋ねた。
「俺が見て怒るような画像か?」
「うん・・・君が私の首を絞めるかも知れない画像だ。」
また間をおいて、
「浮気したのか?」
「していない。だが疑われる様なシーンを撮られた。」
「やましいことをしていないのなら、無視しろ。君の潔白は手を触ればわかる。」
「相手の男も殴るなよ。」
「相手は誰だ?」
「ジェリー・パーカーだ。」
ダリルにとって意外なことに、ポールは「ああ」と納得いった声を出した。
「殴らないから安心しろ。」
「本当か?」
「信じろ。」
それからポールは「他に用事は?」と尋ね、ダリルがないと答えると通話を終わらせた。
端末を机に置いて、ダリルは思った。ポールは金曜日の夜にライサンダーに大して過剰に腹を立てたことを反省しているのだ、と。
ーーポートランドに帰る。来週また来るから、娘をよろしく。
JJは既に起床していたらしく、直ぐに返事が来た。
ーー来週はPちゃんと仲直りしてね。
喧嘩などしていない、とライサンダーは思った。レインが勝手に機嫌を損ねただけだ。
しかしJJと議論している時間はなかったので、「わかった」とだけ返信した。
そしてダリルが起きる頃にはマイケル・ゴールドスミス・ドーマーの操縦するヘリに乗ってポートランドに帰って行った。
ダリルは食堂へ行き、定時の朝食会をクラウスと共に無難にこなしてオフィスに入った。仕事を始めて半時間もしないうちに第5チームのリーダー、ジョージ・ルーカス・ドーマーから電話が入った。
「セイヤーズ・ドーマー、例のサイトを見ましたか?」
「例の? パパラッチのか?」
「そうです。どうやらまだの様ですね。」
「何か問題でも?」
「大ありですよ! 削除申請した方が良いですよ。」
端末をそのままにして、コンピュータでパパラッチサイトを開いた。「本日のトップニュース!」と文字が躍っていた。
ーー我らがアイドル、恋人を横取りされる!
ダリルはびっくりして画像を開いた。夜間の屋外撮影だから、人物の姿はそれほど鮮明ではない。しかし、その画像の下に処理をした修正画像が載せられていた。
森の中のギリシア風東屋で、キスをしている男2人が写っていた。
ダリルは唖然とした。誰も現場にいなかったはずだが・・・?
「削除は無理だ、ジョージ。このアクセス数・・・」
「ドーム内のドーマー全員が見たと言える数ですね。」
「これは何時アップされたのだ?」
「10分前ですね。」
「10分でこのアクセス数か? 信じられん・・・私だとわかるのか、この画像で?」
「髪の色でね。」
「夜間撮影だ。他のブロンドの男かも知れないだろ?」
「『我らがアイドル』の恋人は、貴方しかいませんよ。」
「しかし・・・」
「貴方なんでしょ?」
「否定しないが・・・浮気じゃないぞ。あれは冗談だ。」
「あんな時刻にあんな場所で冗談でキスしていたんですか?」
「君はポール・レイン・ドーマーか?」
「僕は、貴方とパーカーを守りたいだけですよ。」
相手がジェリー・パーカーだと言うこともばれているのか。ダリルは目眩を覚えた。
「どう守るんだ? 私からレインに弁明するしかないだろう。まったく、ジェリーのヤツ・・・」
ジェリーに電話を掛けたが、着信拒否された。緻密な計算が必要な仕事で研究室に籠もっている時は、科学者達は電話に出ないのだ。
ダリルは仕方なくポールに電話を掛けてみた。ポール・レイン・ドーマーはこちらへ帰って来る飛行機の中だった。
「外に居る俺に君の方から電話を掛けてくるなんて、珍しいな。何かあったのか?」
「くだらない画像がくだらないサイトにアップされていると知らせたくてね。」
ちょっと間をおいて、ポールが尋ねた。
「俺が見て怒るような画像か?」
「うん・・・君が私の首を絞めるかも知れない画像だ。」
また間をおいて、
「浮気したのか?」
「していない。だが疑われる様なシーンを撮られた。」
「やましいことをしていないのなら、無視しろ。君の潔白は手を触ればわかる。」
「相手の男も殴るなよ。」
「相手は誰だ?」
「ジェリー・パーカーだ。」
ダリルにとって意外なことに、ポールは「ああ」と納得いった声を出した。
「殴らないから安心しろ。」
「本当か?」
「信じろ。」
それからポールは「他に用事は?」と尋ね、ダリルがないと答えると通話を終わらせた。
端末を机に置いて、ダリルは思った。ポールは金曜日の夜にライサンダーに大して過剰に腹を立てたことを反省しているのだ、と。