ジェット機がローズタウン空港に着陸した。ジェリー・パーカーがてきぱきとドーマー達に指図した。
「俺は囚人だから、手錠を掛けてくれ。歩く時は、俺をはさんで縦だろうが横だろうが3人並ぶんだ。もしジェシー・ガーもしくはラムゼイ博士の部下だった人間が近づいたら、俺はこう言う。『畜生、くそみたいに良い天気だぜ』。」
汚い言葉に慣れないアキ・サルバトーレ・ドーマーがちょっと引く気配がした。ダリルが承知したと告げた。
彼等は機外に出た。空港ビルでローズタウン支局の職員に迎えられ、ひとまず支局ビルに入った。支局職員は元ドーマーの支局長以外は一般人だ。だからダリル達はドームの中の話題は決して口に出さない。かつてFOKのスパイが潜り込んでいたこともあり、接触する職員の数は最小限に留めた。
支局長のトーマス・クーパーはハイネ局長から詳細を聞かされているはずだが、余計なことは一切喋らなかった。ダリルとアキにラムゼイ博士が埋葬された墓地の地図を見せ、支局と墓地の間のルートを示した。
「ただの墓参りだから、往復3時間で用件は終わるはずだ。」
「広い墓地ですね。」
クーパーは幹部経験がなかったが、支局長はドームを卒業する元ドーマー達の再就職先としては最高位の職場だ。ダリルは彼に敬意を表した。例え相手が年下だとしても。
ダリルの言葉にクーパーは憂い顔で頷いた。
「うん、広いし、起伏があって隠れ場所が多い。おまけに墓と言うものはいろいろな形状があって、家みたいな物まであるんだ。敵が隠れていても可笑しくない。護衛を増やそうか?」
「どうでしょうか・・・ジェシー・ガーが本当に現れるか確信はありませんが・・・」
「警察が犯罪者を待ち伏せる時だって、空振りに終わることがある。気にせずに支局の人間を使ってくれ。」
クーパーは以前FOKのスパイの侵入を許してしまったので名誉挽回を図りたい。
ダリルはアキを見た。ジェリーの護衛はアキに任せても大丈夫だろうが、敵が複数、銃を使われると厄介だ。
「わかりました。では、墓地の周囲を警戒してもらえると有り難いです。」
クーパーが、ジェリーがモンタージュで作成したジェシー・ガーの顔写真をパネルに映し出した。
「これを保安員に配信しよう。見つけた場合、捕まえて良かったんだな?」
「ええ、捕まえて下さい。罪状は何でも良いです。」
「メーカーの元手下だ。そっち方面でいくらでも理由を作ってやる。」
警察ではないので、遺伝子管理局が人間を捕まえる理由は一つだけ、「遺伝子管理法違反」だ。
アキとジェリーは静かにダリルと支局長のやりとりを聞いていた。
「もし、ガー本人ではなく、仲間が現れた場合は、わからないんじゃないか?」
「仲間が現れる場合は、明らかに何らかの行動を起こすでしょう。ジェリーを連れて行こうとするかも知れないし、ドーマーを攫おうとするかも知れません。」
「その場合も捕まえて良いのだな?」
「捕まえて下さい。こちらは、もう誘拐は御免ですから。」
するとジェリーが口をはさんだ。
「ジェシーの居場所だけはどうしても掴みたい。俺は博士を殺したヤツをどうしても許せない。」
「ジェリー・・・」
ダリルは彼を宥めようとした。
「ガーが実行犯だと言う確証はまだないんだよ。」
「あいつしか居ない。」
ジェリーの表情は頑な思いを示していた。
「俺は囚人だから、手錠を掛けてくれ。歩く時は、俺をはさんで縦だろうが横だろうが3人並ぶんだ。もしジェシー・ガーもしくはラムゼイ博士の部下だった人間が近づいたら、俺はこう言う。『畜生、くそみたいに良い天気だぜ』。」
汚い言葉に慣れないアキ・サルバトーレ・ドーマーがちょっと引く気配がした。ダリルが承知したと告げた。
彼等は機外に出た。空港ビルでローズタウン支局の職員に迎えられ、ひとまず支局ビルに入った。支局職員は元ドーマーの支局長以外は一般人だ。だからダリル達はドームの中の話題は決して口に出さない。かつてFOKのスパイが潜り込んでいたこともあり、接触する職員の数は最小限に留めた。
支局長のトーマス・クーパーはハイネ局長から詳細を聞かされているはずだが、余計なことは一切喋らなかった。ダリルとアキにラムゼイ博士が埋葬された墓地の地図を見せ、支局と墓地の間のルートを示した。
「ただの墓参りだから、往復3時間で用件は終わるはずだ。」
「広い墓地ですね。」
クーパーは幹部経験がなかったが、支局長はドームを卒業する元ドーマー達の再就職先としては最高位の職場だ。ダリルは彼に敬意を表した。例え相手が年下だとしても。
ダリルの言葉にクーパーは憂い顔で頷いた。
「うん、広いし、起伏があって隠れ場所が多い。おまけに墓と言うものはいろいろな形状があって、家みたいな物まであるんだ。敵が隠れていても可笑しくない。護衛を増やそうか?」
「どうでしょうか・・・ジェシー・ガーが本当に現れるか確信はありませんが・・・」
「警察が犯罪者を待ち伏せる時だって、空振りに終わることがある。気にせずに支局の人間を使ってくれ。」
クーパーは以前FOKのスパイの侵入を許してしまったので名誉挽回を図りたい。
ダリルはアキを見た。ジェリーの護衛はアキに任せても大丈夫だろうが、敵が複数、銃を使われると厄介だ。
「わかりました。では、墓地の周囲を警戒してもらえると有り難いです。」
クーパーが、ジェリーがモンタージュで作成したジェシー・ガーの顔写真をパネルに映し出した。
「これを保安員に配信しよう。見つけた場合、捕まえて良かったんだな?」
「ええ、捕まえて下さい。罪状は何でも良いです。」
「メーカーの元手下だ。そっち方面でいくらでも理由を作ってやる。」
警察ではないので、遺伝子管理局が人間を捕まえる理由は一つだけ、「遺伝子管理法違反」だ。
アキとジェリーは静かにダリルと支局長のやりとりを聞いていた。
「もし、ガー本人ではなく、仲間が現れた場合は、わからないんじゃないか?」
「仲間が現れる場合は、明らかに何らかの行動を起こすでしょう。ジェリーを連れて行こうとするかも知れないし、ドーマーを攫おうとするかも知れません。」
「その場合も捕まえて良いのだな?」
「捕まえて下さい。こちらは、もう誘拐は御免ですから。」
するとジェリーが口をはさんだ。
「ジェシーの居場所だけはどうしても掴みたい。俺は博士を殺したヤツをどうしても許せない。」
「ジェリー・・・」
ダリルは彼を宥めようとした。
「ガーが実行犯だと言う確証はまだないんだよ。」
「あいつしか居ない。」
ジェリーの表情は頑な思いを示していた。