「ラムゼイも潰れたのか?」
「ベーリングが画期的な遺伝子を開発した、と言う噂を管理局が流した。
ラムゼイはそれを強奪した。ベーリングが奪還を図り、両組織は殺し合った。
管理局が乗り込んだ時は、ベーリングは全滅で、ラムゼイ側は大方が倒れていた。」
ラムゼイはそれを強奪した。ベーリングが奪還を図り、両組織は殺し合った。
管理局が乗り込んだ時は、ベーリングは全滅で、ラムゼイ側は大方が倒れていた。」
「良かったじゃないか、君の計画通りにことは進んだのだろう。」
「そのはずだった。」
「問題でも?」
ダリルの質問に、初めてポールが即答を避けた。視線を窓の方に向けたのだ。
「餌に使った画期的な遺伝子が完成していた。」
「押収したんじゃないのか?」
「逃げられた。」
ダリルはポールを見つめた。彼が失敗するなんて、初めてだ。ポール・レイン・ドーマーは優秀な遺伝子管理局員なのだ。
「どう言う意味だ? 遺伝子データを持ち逃げされたのか?」
「違う。遺伝子が自分で逃げたんだ。」
ポールはダリルに向き直った。
「俺は、ベーリングに潜り込ませた情報屋から話を聞いた時、そいつはただのデータだと思った。方程式とか、塩基配列の組み替えデータとか、そんな類だと思ったんだ。
ラムゼイも同じことを考えたはずだ。だから、連中はベーリングの研究室にいた女・・・ベーリングの女房だ・・・彼女を誘拐して、データを聞き出そうとした。
そこへベーリングが女房を取り返す為に総攻撃を仕掛けた。
メーカーどもは、共倒れになるまで戦ったんだ。
俺たちが駆けつけた時、女は瀕死の重傷を負っていた。
彼女は俺に、こう言った。
4Xを守って
と。」