ベッドに入って目をとじたものの、ケンウッドは2時間後の午前4時過ぎには目が覚めてしまった。やはり心の中ではドーマー達の安全が気になっているのだ。
彼は結局シャワーを浴びて服を着替え、運動施設に向かった。軽くトレーニングをして体をほぐし、スーツに着替えて一般食堂へ行くと、クロエル・ドーマーがピート・オブライアン・ドーマーと話をしていた。隣のテーブルにハイネ局長もいる。オブライアンはレインとセイヤーズ、ワグナーと部屋兄弟のドーマーだ。一般食堂の若き司厨長で、既にハイネと堂々と喧嘩する度胸がある。だがこの朝はハイネは大人しくお粥を食べており、オブライアンはクロエルと話し込んでいた。
ケンウッドは彼等の周囲にスーツ姿の遺伝子管理局の若い局員達を見かけた。既に何人かは食べ終えており、クロエルと出動する局員なのだろう、上司の合図を待っている様子だ。
ケンウッドがテーブルに近づくと、会話が終わったらしく、オブライアンがテーブルから離れ、クロエルが仲間に声を掛けた。
「んじゃ、僕ちゃんは一旦本部へ行って、セイヤーズに朝飯を食わせるから、君達は各自準備しておいて。1時間後に送迎フロアに集合、すぐ出発するから。」
「了解!」
ドーマー達が立ち上がり、局長に挨拶して立ち去って行った。ケンウッドも会釈してもらい、返礼してから、ハイネの向かいに座った。
「おはよう、局長。もしかして、寝ていないんじゃないかね?」
「おはようございます、長官。1時間眠りましたよ。長官こそ寝ておられないのでは? 酷いお顔です。」
「そうか?」
ケンウッドが思わず顔を撫でると、ハイネがクスッと笑い、からかわれたと知った。
「さっきクロエルと話していたオブライアン・ドーマーはセイヤーズとレインの部屋兄弟だったね?」
「そうです。クロエルがセイヤーズの人となりを訊いていました。扱い方の予習ですな。」
「勉強は大事です。」
気がつくと、ハイネの後ろにジェレミー・セルシウス・ドーマーが妻と共に座っていた。頭髪が薄くなって、ちょっと印象が変わり、ケンウッドは馴染み深い筈の彼の存在に気がつかなかったのだ。後ろから見た姿に馴染みがなかっただけかも知れないが。
ハイネが説明した。
「私が殆ど寝ていないと知って、ジェレミーが業務の手伝いをしてくれることになりました。ジェレミーはこの際、ネピアに局長業務の補佐を教え込むつもりのようです。」
「ネピアは君の業務を手伝ったことがないのかね?」
少し驚きだ。ネピア・ドーマーが第一秘書になってかなりになるのではないか? しかしセルシウスは言った。
「彼は秘書業一筋でしたからね。後輩のキンスキーの方が局長のお仕事に詳しいです。しかしネピアを飛ばすとネピア自身の機嫌が悪くなるので、キンスキーは控えています。面倒臭いので、ネピアに局長のお仕事を手伝えるよう叩き込んでやります。」
セルシウスの意気込みに、ハイネと妻がクスッと笑い、ケンウッドも苦笑した。ネピア・ドーマーは下の者には強いが、先輩のセルシウスには腰が低い。
ケンウッドは長官代行を秘書に教えるべきだろうかとちょっと考えてしまった。ゴーン副長官はクローン製造部の仕事があるので、忙しい。出張の時は頼るが、急病などは対応が難しい。上手く代行や代理を頼める人材を養成しているドーマー達を見習うべきだろう。
彼は結局シャワーを浴びて服を着替え、運動施設に向かった。軽くトレーニングをして体をほぐし、スーツに着替えて一般食堂へ行くと、クロエル・ドーマーがピート・オブライアン・ドーマーと話をしていた。隣のテーブルにハイネ局長もいる。オブライアンはレインとセイヤーズ、ワグナーと部屋兄弟のドーマーだ。一般食堂の若き司厨長で、既にハイネと堂々と喧嘩する度胸がある。だがこの朝はハイネは大人しくお粥を食べており、オブライアンはクロエルと話し込んでいた。
ケンウッドは彼等の周囲にスーツ姿の遺伝子管理局の若い局員達を見かけた。既に何人かは食べ終えており、クロエルと出動する局員なのだろう、上司の合図を待っている様子だ。
ケンウッドがテーブルに近づくと、会話が終わったらしく、オブライアンがテーブルから離れ、クロエルが仲間に声を掛けた。
「んじゃ、僕ちゃんは一旦本部へ行って、セイヤーズに朝飯を食わせるから、君達は各自準備しておいて。1時間後に送迎フロアに集合、すぐ出発するから。」
「了解!」
ドーマー達が立ち上がり、局長に挨拶して立ち去って行った。ケンウッドも会釈してもらい、返礼してから、ハイネの向かいに座った。
「おはよう、局長。もしかして、寝ていないんじゃないかね?」
「おはようございます、長官。1時間眠りましたよ。長官こそ寝ておられないのでは? 酷いお顔です。」
「そうか?」
ケンウッドが思わず顔を撫でると、ハイネがクスッと笑い、からかわれたと知った。
「さっきクロエルと話していたオブライアン・ドーマーはセイヤーズとレインの部屋兄弟だったね?」
「そうです。クロエルがセイヤーズの人となりを訊いていました。扱い方の予習ですな。」
「勉強は大事です。」
気がつくと、ハイネの後ろにジェレミー・セルシウス・ドーマーが妻と共に座っていた。頭髪が薄くなって、ちょっと印象が変わり、ケンウッドは馴染み深い筈の彼の存在に気がつかなかったのだ。後ろから見た姿に馴染みがなかっただけかも知れないが。
ハイネが説明した。
「私が殆ど寝ていないと知って、ジェレミーが業務の手伝いをしてくれることになりました。ジェレミーはこの際、ネピアに局長業務の補佐を教え込むつもりのようです。」
「ネピアは君の業務を手伝ったことがないのかね?」
少し驚きだ。ネピア・ドーマーが第一秘書になってかなりになるのではないか? しかしセルシウスは言った。
「彼は秘書業一筋でしたからね。後輩のキンスキーの方が局長のお仕事に詳しいです。しかしネピアを飛ばすとネピア自身の機嫌が悪くなるので、キンスキーは控えています。面倒臭いので、ネピアに局長のお仕事を手伝えるよう叩き込んでやります。」
セルシウスの意気込みに、ハイネと妻がクスッと笑い、ケンウッドも苦笑した。ネピア・ドーマーは下の者には強いが、先輩のセルシウスには腰が低い。
ケンウッドは長官代行を秘書に教えるべきだろうかとちょっと考えてしまった。ゴーン副長官はクローン製造部の仕事があるので、忙しい。出張の時は頼るが、急病などは対応が難しい。上手く代行や代理を頼める人材を養成しているドーマー達を見習うべきだろう。