2016年11月8日火曜日

対面 17

 JJの前に、10人分の血液サンプルが並んでいた。ケンウッド長官とラナ・ゴーン副長官、それに数名の執政官が彼女の向かいに座っていた。

「JJ、君は塩基配列を見ていると、セイヤーズが報告したが、このサンプルの主達を識別出来ると言うことかな?」

 コロニー人達は誰もダリルの報告を信じていなかった。DNAが見える人間なんているはずがない。
 JJはサンプル3を指さした。

「これはPちゃん! とっても綺麗。」

 ケンウッドは手元の端末でリストを確認した。確かにサンプル3はポール・レイン・ドーマーの血液だ。
 JJはサンプル4を指した。

「クラウスさんよね?」

 彼女は更にサンプルを順番に指していった。

「次は、ジェリーだわ! それから、ラナが居る。 次は・・・知らない人だけど、ドーマーね。8もドーマーだわ。9はクローン、女の人、10はドーマー・・・」
「1と2は?」
「コロニー人の男の人。」

 室内がざわついた。なんでわかるんだ? と声が上がった。ケンウッドはサンプルをさらに10人分と入れ替えた。
 JJはその10人の名前は知らなかったが、正確に性別、ドーマー、クローン、コロニー人を言い当てた。しかも、ドーマーの中でもセント・アイブスから同じ飛行機でドームに戻った者とそうでない者を判別した。クローンは、つまり女性なのだが、ドーマーとして育ったクローンと、取り替え子で出産でドームに収容されている女性を言い当てた。

「何が違うんだ?」

とケンウッドがJJに尋ねた。

「遺伝子に差異があると言う意味だ、そうだね? コロニー人の女性と、クローンの女性では違うのだね?」
「全然違うわ。」
「君が見ている物を、我々も見られるのだろうか?」
「どうして、貴方達は見えないの?」

 ラナ・ゴーンが提案した。

「もっとサンプルを沢山集めて見せましょう。比較して個別ではなく、グループの明確な差をJJに発見してもらうのです。」