ヘンリー・パーシバルの部屋はケンウッドには馴染みの場所だから、何処に何があるかよくわかっている。しかし、室内に遺伝子管理局長が居たのは今回が初めてだった。何故ハイネがそこに居たのか不明だが、彼は症状が落ち着いたパーシバルを支えてベッドの上に座らせ、水を与えていた。ケンウッドとヤマザキを出迎えたキーラ・セドウィック博士がパーシバルの症状を説明した。
パーシバルはアパートの入り口まで帰り着いた時、彼女とばったり出会った。彼女が優勝の祝辞を述べ、パーシバルが冗談で応じている最中に発作が起きたと言う。
いきなり胸を手で押さえてその場にしゃがみ込み、呻き声を上げたので、彼女は急いで端末で彼の胸を走査した。心臓に異常を示す診断が出なかったので、彼を部屋まで運ぼうとしたが、パーシバルは立ち上がることさえ出来ず、そのままそこに体を横たえてしまった。彼女は咄嗟にローガン・ハイネに電話を掛けて、すぐに来てくれと要請すると、彼に心肺蘇生処置を施した。数10秒間呼吸が止まったのだ。
ハイネが現れた時は、パーシバルは既に呼吸を再開させ、目を開いていた。しかし顔面蒼白で起き上がれそうになかったので、ハイネが彼を抱え上げ、キーラに医療区へ連絡を入れよと指示して、アパートの中に彼を運び込んだ。その頃はまだ男性執政官達は中央研究所の大会議室に居たので、キーラがハイネを呼ばなければ助けてくれる人がいなかった。
パーシバルは何とか自力で部屋の入り口を解錠して、3人は室内に入った。ハイネがパーシバルの女装を解かせ、体を楽にしてやる間に、キーラは遠い医療区ではなく、近くに居るはずのヤマザキに電話をしたのだった。
パーシバルは部屋に入って来たケンウッド達を見ると照れ笑いした。
「いやぁ、お騒がせして申し訳ない。いきなり息苦しくなって、ぶっ倒れてしまったよ。キーラがいなければ死んでいたかもな。」
ケンウッドはハイネが彼の体から剥ぎ取って床に放り出していたコルセットを掴みあげた。
「こんな物で胴を締め上げていたから呼吸が出来なくなったんだろ?」
キーラも特大のブラジャーをつまみ上げた。
「こんな物で胸を締め付けていたのね。」
パーシバルが頬を赤く染めた。
「それでコンテストに優勝したんだから、文句言わないでくれ。」
「優勝して死んでしまったら、元も子もないだろう!」
ヤマザキがもう1度彼の端末で走査検査をして、キーラの端末に記録されていた数値と比較した。血圧や心拍数は落ち着いた様だった。
「重力障害で体力が落ちているのに、コルセットなんかで締め付けるから、肉体が悲鳴を上げたんだ、ヘンリー。明日検査するから予約を入れておく。必ず医療区に来いよ。」
「ええ? 明日? 明日はポールとお茶会をする予定で・・・」
「駄目!必ず朝一で診察に来なさい!」
医者の顔でヤマザキが厳しい口調になった。パーシバルは口を閉じた。
ヤマザキが医療区のコンピュータに診察の予約を入れる手続きを始めた。ハイネがキーラを振り返って声を掛けた。
「君はもう帰りなさい。明日は早いだろう?」
キーラ博士は一瞬パーシバルに目をやった。まだ心配なのだ。ケンウッドが彼女に言った。
「私の部屋は2つ向こうにあるし泊まってもかまわない。どうか今夜は引き揚げて下さい。 貴女のお陰でヘンリーは命拾いした。礼を言います。」
パーシバルも礼を言った。
「キーラ博士、本当に有り難う。この恩は一生忘れないよ。」
男達に気を遣わせてしまっていることに気が付いて、キーラ・セドウィックは素直に帰ることにした。
「わかりました、今夜はこれで引き揚げます。ヘンリー、お大事にね。ケンウッド博士、ケンタロウ、おやすみなさい。」
そして特別に投げキスで・・・
「ローガン・ハイネ、来てくれて有り難う。」
パーシバルはアパートの入り口まで帰り着いた時、彼女とばったり出会った。彼女が優勝の祝辞を述べ、パーシバルが冗談で応じている最中に発作が起きたと言う。
いきなり胸を手で押さえてその場にしゃがみ込み、呻き声を上げたので、彼女は急いで端末で彼の胸を走査した。心臓に異常を示す診断が出なかったので、彼を部屋まで運ぼうとしたが、パーシバルは立ち上がることさえ出来ず、そのままそこに体を横たえてしまった。彼女は咄嗟にローガン・ハイネに電話を掛けて、すぐに来てくれと要請すると、彼に心肺蘇生処置を施した。数10秒間呼吸が止まったのだ。
ハイネが現れた時は、パーシバルは既に呼吸を再開させ、目を開いていた。しかし顔面蒼白で起き上がれそうになかったので、ハイネが彼を抱え上げ、キーラに医療区へ連絡を入れよと指示して、アパートの中に彼を運び込んだ。その頃はまだ男性執政官達は中央研究所の大会議室に居たので、キーラがハイネを呼ばなければ助けてくれる人がいなかった。
パーシバルは何とか自力で部屋の入り口を解錠して、3人は室内に入った。ハイネがパーシバルの女装を解かせ、体を楽にしてやる間に、キーラは遠い医療区ではなく、近くに居るはずのヤマザキに電話をしたのだった。
パーシバルは部屋に入って来たケンウッド達を見ると照れ笑いした。
「いやぁ、お騒がせして申し訳ない。いきなり息苦しくなって、ぶっ倒れてしまったよ。キーラがいなければ死んでいたかもな。」
ケンウッドはハイネが彼の体から剥ぎ取って床に放り出していたコルセットを掴みあげた。
「こんな物で胴を締め上げていたから呼吸が出来なくなったんだろ?」
キーラも特大のブラジャーをつまみ上げた。
「こんな物で胸を締め付けていたのね。」
パーシバルが頬を赤く染めた。
「それでコンテストに優勝したんだから、文句言わないでくれ。」
「優勝して死んでしまったら、元も子もないだろう!」
ヤマザキがもう1度彼の端末で走査検査をして、キーラの端末に記録されていた数値と比較した。血圧や心拍数は落ち着いた様だった。
「重力障害で体力が落ちているのに、コルセットなんかで締め付けるから、肉体が悲鳴を上げたんだ、ヘンリー。明日検査するから予約を入れておく。必ず医療区に来いよ。」
「ええ? 明日? 明日はポールとお茶会をする予定で・・・」
「駄目!必ず朝一で診察に来なさい!」
医者の顔でヤマザキが厳しい口調になった。パーシバルは口を閉じた。
ヤマザキが医療区のコンピュータに診察の予約を入れる手続きを始めた。ハイネがキーラを振り返って声を掛けた。
「君はもう帰りなさい。明日は早いだろう?」
キーラ博士は一瞬パーシバルに目をやった。まだ心配なのだ。ケンウッドが彼女に言った。
「私の部屋は2つ向こうにあるし泊まってもかまわない。どうか今夜は引き揚げて下さい。 貴女のお陰でヘンリーは命拾いした。礼を言います。」
パーシバルも礼を言った。
「キーラ博士、本当に有り難う。この恩は一生忘れないよ。」
男達に気を遣わせてしまっていることに気が付いて、キーラ・セドウィックは素直に帰ることにした。
「わかりました、今夜はこれで引き揚げます。ヘンリー、お大事にね。ケンウッド博士、ケンタロウ、おやすみなさい。」
そして特別に投げキスで・・・
「ローガン・ハイネ、来てくれて有り難う。」