2019年4月28日日曜日

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 椅子に座ったハイネが帽子を取った。真っ白な髪と整った顔が現れた。フーッと息を吐いて、隣のテーブルのケンウッドを振り返り、苦笑した。

「今日のインタビュアーは手強くて、カメラを抱えて追いかけて来たんですよ。」
「それは恐ろしいなぁ。」

 ケンウッドも思わず笑った。ヘンリー・パーシバルが額の汗を手で拭いながら、ケンタロウももう直ぐ来るよと言った。ショシャナが顔を上気させた。彼女がヤマザキのファンであることは、数年前からケンウッドは知っていた。50歳以上も年上の小父さんが彼女は大好きなのだ。ヤマザキが多くの美女達と浮名を流したプレイボーイだと知ったら、どれだけショックを受けることだろう。
 シュラミスが弟ローガンをせっついてハイネの前に進み出た。

「初めまして、局長。シュラミスです。こちらは弟のローガン。」
「あっ、狡い!」

 ショシャナも慌てて祖父の前に立った。

「ショシャナです。宜しく!」

 双子が同時に握手を求めて手を出した。コロニー人から地球人に握手を求めるのは地球人保護法に抵触する恐れがあるのだが、子供達は気にしない。ハイネは一瞬、誰? と言いたげな顔をして、ケンウッドを不安にさせたが、直ぐに3人の少年少女が何者か悟った。キーラを振り返り、

「君の子供達か?」
「そうよ。」

 ヘンリーを見て、

「貴方の子供達ですね?」
「当たり前だろう。」

 最後にケンウッドを見て、

「私の孫ですか?」
「そうだよ、ハイネ。」

 ローガン・ハイネは立ち上がり、子供達の前に立った。そして、いきなり3人一緒に抱き締めた。

「ようこそ地球へ。私が遺伝子管理局長ローガン・ハイネだ。」

 そこへバタバタと音を立ててロングドレスの微妙な美女が駆け込んで来た。

「わりぃ、わりぃ、ちょっと観光客のグループに捕まってしまって・・・あれ? 局長はまだか?」

 ヤマザキには3人の長身の少年少女に囲まれたローガン・ハイネが見えなかった。