リュック・ニュカネン元ドーマーは、局長が電話に出ると、すぐに用件を話し始めた。
「局長、ラムゼイのジェネシスの行方に関する情報を連絡して来た刑事から、また連絡がありました。セイヤーズに与えられた情報はガセネタだったようです。直ちにセイヤーズに私から連絡を取りましたが、彼は現在FOKのメンバーと銃撃戦になっているところです。」
ケンウッドの耳にもニュカネンの声は聞こえた。ケンウッドは自身が青ざめるのを自覚した。そんな長官をハイネ局長はチラリと見て、それからニュカネンに尋ねた。
「セイヤーズは単独行動か?」
「静音ヘリのパイロットが現場近くで待機していましたので、様子を見に行くよう指示しました。恐らくセイヤーズを援護してくれるものと思います。」
航空班は維持班の一部だが、業務内容に関しては遺伝子管理局と密接に関わっているので、ほぼ遺伝子管理局傘下の部署だ。ハイネはパイロット達が戦闘訓練を受けていることを承知していた。そして、もう一つ、彼はドームでイライラしていても何も部下の手助けにならないことを、前回の事件で学んでいた。だから・・・
「現場の指揮を君に頼む。可能な限りセイヤーズとパイロットの動向を把握してくれ。連絡がつけば、君から指示を送れ。」
リュック・ニュカネンは一瞬黙り込んだ。彼はセイヤーズと馬が合わない。セイヤーズは彼の指示に従ったことがない。だがそんなことは局長の知ったことではないのだ。現場へ行けないハイネはこの時点で連絡が取れるニュカネンだけが頼りなのだから。
「了解しました。」
とニュカネンが応えた。
「ローズタウン支局にヘリの応援を依頼して、私も現地へ飛びます。また後で連絡します。」
電話が切れた。ハイネが端末をポケットに仕舞うのを待たずに、ケンウッドが尋ねた。
「セイヤーズは無事なのか?」
ハイネは長官を見て、副長官を見た。ゴーンは無言で彼を見ていたが、ケンウッド程切羽詰まった表情ではなかった。彼女の養子クロエル・ドーマーは中南米勤務の遺伝子管理局員は「しょっちゅう」撃ち合いに巻き込まれると彼女に言っていた。
ーーでもね、おっかさん、僕ちゃん達は光線銃を使用してるんです。外の連中が使う銃よりずっと性能が良いし、安全なんす。敵を傷つけずに逮捕出来るんすよ。
ハイネは正副両長官に言った。
「ニュカネンが慌てていないところからして、セイヤーズは追い詰められた状況ではなさそうです。」
「局長、ラムゼイのジェネシスの行方に関する情報を連絡して来た刑事から、また連絡がありました。セイヤーズに与えられた情報はガセネタだったようです。直ちにセイヤーズに私から連絡を取りましたが、彼は現在FOKのメンバーと銃撃戦になっているところです。」
ケンウッドの耳にもニュカネンの声は聞こえた。ケンウッドは自身が青ざめるのを自覚した。そんな長官をハイネ局長はチラリと見て、それからニュカネンに尋ねた。
「セイヤーズは単独行動か?」
「静音ヘリのパイロットが現場近くで待機していましたので、様子を見に行くよう指示しました。恐らくセイヤーズを援護してくれるものと思います。」
航空班は維持班の一部だが、業務内容に関しては遺伝子管理局と密接に関わっているので、ほぼ遺伝子管理局傘下の部署だ。ハイネはパイロット達が戦闘訓練を受けていることを承知していた。そして、もう一つ、彼はドームでイライラしていても何も部下の手助けにならないことを、前回の事件で学んでいた。だから・・・
「現場の指揮を君に頼む。可能な限りセイヤーズとパイロットの動向を把握してくれ。連絡がつけば、君から指示を送れ。」
リュック・ニュカネンは一瞬黙り込んだ。彼はセイヤーズと馬が合わない。セイヤーズは彼の指示に従ったことがない。だがそんなことは局長の知ったことではないのだ。現場へ行けないハイネはこの時点で連絡が取れるニュカネンだけが頼りなのだから。
「了解しました。」
とニュカネンが応えた。
「ローズタウン支局にヘリの応援を依頼して、私も現地へ飛びます。また後で連絡します。」
電話が切れた。ハイネが端末をポケットに仕舞うのを待たずに、ケンウッドが尋ねた。
「セイヤーズは無事なのか?」
ハイネは長官を見て、副長官を見た。ゴーンは無言で彼を見ていたが、ケンウッド程切羽詰まった表情ではなかった。彼女の養子クロエル・ドーマーは中南米勤務の遺伝子管理局員は「しょっちゅう」撃ち合いに巻き込まれると彼女に言っていた。
ーーでもね、おっかさん、僕ちゃん達は光線銃を使用してるんです。外の連中が使う銃よりずっと性能が良いし、安全なんす。敵を傷つけずに逮捕出来るんすよ。
ハイネは正副両長官に言った。
「ニュカネンが慌てていないところからして、セイヤーズは追い詰められた状況ではなさそうです。」