2019年5月16日木曜日

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 見送りグループが解散した。JJ・ベーリングはレインのそばに行ったが、彼はこれから外に出かけるのだと彼女に断った。そっと端末にメッセを入れて見せた。

ーーライサンダーと思しき人物が現れたので確認に行ってくる。

 レインは申請書の人物がライサンダー・セイヤーズだと確信していたが、敢えて断言を避けた。万が一間違っていたら、大勢を失望させてしまう。JJが微笑んだ。そっと彼の腕に手を添えた。

 ライサンダーだと良いわね。元気にしているかしら・・・

 彼女が遠い目をした。ラムゼイの農場に居た頃のことを思い出したのだろう。当時は彼女もライサンダーもまだ子供だった。精一杯大人になろうと反抗して背伸びしていた。半年たって、彼女はすっかり落ち着いた女性学者になり、ライサンダーは結婚を希望している。父親になるかも知れない。
 レインはそっと彼女にキスをした。
 少し離れた所では、ダリル・セイヤーズとラナ・ゴーンが並んで歩いていた。 セイヤーズは彼女の方から手を握ってきたことに驚いた。彼女は何も言わなかった。しかし、彼女は前夜の出来事を全て承知しているのだ、と彼は理解した。彼は彼女の手を握り返した。

 スパイラル工業の女が金の力で法を曲げて地球人を抱いたのなら、副長官が憎からず思う地球人に触れてはいけない理がどこにある?

 ジョアン・ターナー・ドーマーがハイネ局長の腕を突いて、セイヤーズとゴーンに彼の注意を向けさせた。コロニー人と地球人が個人的な関係になっても良いのか? と無言で問うた。ローガン・ハイネが囁いた。

「見なかったことにしたまえ。」

 セイヤーズとゴーンは直ぐに離れた。そしてそれぞれの職場に向かった。
 ターナーは、遺伝子管理局長と出産管理区長が交際していると言う噂を思い出した。人々の話によれば、ハイネとアイダは仲良く食事をしたり、庭園で一緒に昼寝をしたり、図書館で映画を見たりしているとのことだ。節度を守った交際だ。セイヤーズとゴーンもそうなのであれば、維持班総代として何も言うことはない。地球人保護法は元々コロニー人の横暴に宇宙へ出ることを許されない地球人が泣き寝入りしないよう、地球上でトラブルを解決出来るように制定された法律だ。地球人とコロニー人が仲良くしているのであれば、どんな深い関係になっても問題ないではないか。
 ターナーは立ち止まってハイネを先に行かせると、後からとぼとぼとやって来たジェリー・パーカーに声を掛けた。

「昼ご飯に、シェイのアップルパイでも食わないか?」

 パーカーが顔を上げ、笑顔を作った。