2018年12月9日日曜日

トラック    2  2- 5

 遺伝子と言えば・・・と言いたそうに、JJが人差し指を立てて何かの合図を送り、タブレットに文章を打ち込んだ。手慣れているし、スピードも速いので、生家でも他人とのコミュニケーションはこうして行なっていたのだろう。

ーーラナとサヤカは他の人と違うけど、どうして?

 ゴーンとアイダは思わず顔を見合わせた。その時、彼女達の周囲にいたのは大勢の地球人の妊産婦と世話係の男性ドーマーが2名だけだった。ゴーンが尋ねた。

「サヤカと私は、他の人とどう違うの? キャリーとも違うのかしら?」

 するとJJはタブレットの機能を探り、数秒後にお絵描きツールを見つけ出した。彼女はそこに指で何かを描き始めた。アイダが目を細めた。

「遺伝子マップに見えるけど?」

 JJは描きながら頷いた。彼女は2本の帯状の物を描き、1本を軽く叩いてキャリーを指差し、もう1本を叩いてゴーンを指差した。ええ? とゴーンが呟いた。

「キャリーと私の遺伝子マップなの?」

 少女がコクリと頷いた。そしてある箇所を交互に指して、違うのだと言いたげに2人を見比べた。
 まさか、とアイダが呟いた。

「コロニー人と地球人の遺伝子情報が違うって言いたいの? 私達、皆んな同じ地球人の子孫ですよ。」
「重力に弱いところが遺伝情報になっているのかしら?」
「でも、そんなにはっきりわかるものなの?」

 するとキャリーが軽く咳払いした。2人の上司に周囲が地球人だらけであることを思い出させた。女性達に現在の地球が抱える真実の問題を教える訳にいかない。ゴーンとアイダは口をつぐんだ。
 テーブルのメンバーが黙り込んだので、JJが不思議そうな顔をして大人達を見た。
 アイダが微笑んで見せた。

「朝食の後のお勉強で何が私達を驚かせたか教えてあげるわ。先ずは朝ご飯を食べてしまってね。」