2018年9月1日土曜日

4X’s 2 4 - 6

「女性を子供を産む機械の様に考えていません?」

 ケプラーが尋ねた。クローン製造施設を見学した直後だった。ケンウッドとゴーンはしっかりと首を横に振った。

「確かに、現在の地球は女性が誕生しなくて人口がどんどん減少しています。このままでは文明が衰退して宇宙連邦に再加入することも叶わなくなります。否、それどころか、絶滅の危機が本当に迫っているのです。我々の研究が全く成果を上げられないのは事実で、クローンの女性を地球に渡すのは時間稼ぎでしかないとわかっています。女性達に子供を産んでもらわなければ大変なことになる。しかし・・・」

 ケンウッドは議員を見つめた。

「我々は決して女性達に結婚も出産も強制していないし、義務付けてもいません。彼女達は自由で、一生独身でいる権利もあるし、子供を産まない権利もあります。彼女達が母親になるのは、彼女達の自由であり、権利です。決して彼女達を道具として考えてはいません。」
「地球ではコロニーの様に生殖細胞を細胞銀行に預けてストックする様な方法で子孫を残したりしないのです。女性達は自分の子宮で子供を育て、自分で産んで、育てるのが常識です。だから、母親となる女性が大勢必要なのです。」

 ゴーンが議員に請願した。

「どうか、卵子提供をもっと積極的に呼びかけて下さい。決して損になる話ではありません。提供された卵子は遺伝子検査をしてお返しします。その時に病気の有無がわかりますので、治療方法の紹介が出来ます。子供の性格もある程度わかります。親にとって損はない筈です。それに、地球の子供達はコロニーの財産権を持ちませんから、クローンが何人いようがオリジナルの相続権を犯すことはありません。」

 ケプラーはちょっと考えた。

「今、ここで協力をお約束することは出来ませんが、前向きに努力します。」

 ケンウッドが微かに皮肉な笑みを浮かべた。

「君はいつもそう言って、問題から逃げようとする癖がある。」
「出来ないことは、はっきり言いますよ。」

 ケプラーはソッポを向いた。サントスが、その場を繕う為に、提案した。

「そろそろお昼になさいませんか?」