ケプラーが、ドーマーを見たい、と言ったので一般食堂へ向かった。勿論、ドーマーは出産管理区にも中央研究所にもクローン製造施設にもいるし、ゲート係だってドーマーだ。議員が見たいのは、テレビの放送でお馴染みの遺伝子管理局の人々や、コロニーではお目にかかれない美味しい料理を作る厨房班のスタッフなのだ、とケンウッドは見当がついた。果たして、食堂に入場すると、ケプラーは配膳棚にずらりと並んだ数々の料理を感嘆の目で見つめた。食堂は昼食時間のピークを過ぎて空きが出来てくる頃だった。
「凄い! なんて彩の綺麗な食べ物なんでしょう!」
サントスもニコニコ顔になった。
「まるで食品見本市みたいですね!」
「毎日こんなのを食べているのですか?」
ゴーンが笑いながら頷いた。
「ですから、私は長い間地球勤務を希望していましたが、なかなか順番が廻って来なかったのですよ。」
「長官がここに居座っているのも、それが理由かしら?」
ケプラーがまたケンウッドを刺激するようなことを言った。ゴーンは何故彼女がケンウッドに挑みかかるのかと疑問に思った。
すると、サントスが誰かを見つけた。
「あの、白い髪の人・・・」
ケンウッドは、ハイネ局長だと思って振り向いた。そして、白髪の人物がダルフーム博士だと知って、何故かホッとした。
「中央研究所のダルフーム博士です。こちらの食堂に来るのは珍しいが・・・」
「このドームの最古参の科学者です。」
とゴーンも紹介した。ケンウッドも情報を追加した。
「地球人の男性側のX染色体がクローン女性の染色体を拒むことを発見した方です。」
無駄に40年もドームに居座っている人ではありませんよ、と意味したつもりだった。ただ、悲しいことに、何故X染色体同士が拒み合うのか、解明されていないのだが。
サントスとケプラーが落胆を隠したのをケンウッドは知っていた。彼女達の反応を察知する方法は十分過ぎる程知っていた。
その時、彼等の背後で馴染みのあるよく透る声が言った。
「そんな所に立ち止まらないで頂けませんか? 後ろがつかえていますので。」
ああ、来てしまった、とケンウッドは心の中で苦笑しながら振り返った。案の定、ローガン・ハイネ遺伝子管理局長が立っていた。ケプラーとサントスが思わず笑顔になるのを視野の隅っこに見ながら、ケンウッドは謝った。
「すまないね、宇宙から来た女性の皆さんが、料理に目移りして動けないんだよ。」
「凄い! なんて彩の綺麗な食べ物なんでしょう!」
サントスもニコニコ顔になった。
「まるで食品見本市みたいですね!」
「毎日こんなのを食べているのですか?」
ゴーンが笑いながら頷いた。
「ですから、私は長い間地球勤務を希望していましたが、なかなか順番が廻って来なかったのですよ。」
「長官がここに居座っているのも、それが理由かしら?」
ケプラーがまたケンウッドを刺激するようなことを言った。ゴーンは何故彼女がケンウッドに挑みかかるのかと疑問に思った。
すると、サントスが誰かを見つけた。
「あの、白い髪の人・・・」
ケンウッドは、ハイネ局長だと思って振り向いた。そして、白髪の人物がダルフーム博士だと知って、何故かホッとした。
「中央研究所のダルフーム博士です。こちらの食堂に来るのは珍しいが・・・」
「このドームの最古参の科学者です。」
とゴーンも紹介した。ケンウッドも情報を追加した。
「地球人の男性側のX染色体がクローン女性の染色体を拒むことを発見した方です。」
無駄に40年もドームに居座っている人ではありませんよ、と意味したつもりだった。ただ、悲しいことに、何故X染色体同士が拒み合うのか、解明されていないのだが。
サントスとケプラーが落胆を隠したのをケンウッドは知っていた。彼女達の反応を察知する方法は十分過ぎる程知っていた。
その時、彼等の背後で馴染みのあるよく透る声が言った。
「そんな所に立ち止まらないで頂けませんか? 後ろがつかえていますので。」
ああ、来てしまった、とケンウッドは心の中で苦笑しながら振り返った。案の定、ローガン・ハイネ遺伝子管理局長が立っていた。ケプラーとサントスが思わず笑顔になるのを視野の隅っこに見ながら、ケンウッドは謝った。
「すまないね、宇宙から来た女性の皆さんが、料理に目移りして動けないんだよ。」