2018年9月2日日曜日

4X’s 2 4 - 8

 通常ハイネとケンウッドは4人掛けか2人掛けのテーブルを使用するのだが、ケプラーが遺伝子管理局長の同席を求めたので、6人掛けのテーブルに彼等は着いた。連邦議会の議員だと紹介されてもハイネは関心を示さなかった。宇宙のことには興味を持たない、それが彼が生まれてから1世紀守って来たドーマーのルールだ。それに出資者様ではないので、ご機嫌を取る必要もないと思っているらしく、サントスの皿の内容を見るなり意見した。

「油物が多いです。ほどほどの量に抑えないと健康に良くありません。」

そしてケプラーにも、

「ソースの掛け過ぎです。素材の味が台無しだ。」

と言った。ケンウッドは議員が怒るのではないかと心配したが、サントスがハイネに言い返した。

「つまり、お肌に良くないってことかしら?」

 ケプラーが吹き出しそうになり、ハイネが真面目に答えた。

「内臓脂肪のことを言っています。」
「私達の健康を気遣って下さるのね?」
「折角今日迄健康を維持して来られたのに、地球に降りられた途端に食べ過ぎで体調を崩されては、こちらも立つ瀬がありません。」
「ハイネ局長・・・」

 ケプラーが笑いの発作をなんとか収めて話しかけた。

「サントスがお肌のことを持ち出したのは、ケンウッド博士への当てつけですのよ。」
「長官への?」

 ハイネがケンウッドを見たので、ケンウッドは局長が彼の本業を忘れているのだと気が付いた。やんわりと指摘した。

「私の専門は皮膚の老化防止だよ、ハイネ。」
「おや・・・長官も科学者でしたね。」

 ゴーンがクスクス笑った。そして客人達に尋ねた。

「お2人共にケンウッド長官と古いお付き合いの様ですが、どの様なお知り合いでしたの?」

 ケンウッドが深い溜め息をついた。懸念していたことが遂に起きてしまった。彼は腹を括って、副長官の疑問に答えた。

「ゴーン副長官、それにハイネ局長、正直に明かそう・・・」

 彼はケプラーを手で指した。

「私の元婚約者だ。」

 そしてサントスを指した。

「彼女も、私の元婚約者だ。」