会議が終わり、事務手続きも終了して自由になったのは日付が変わった頃だった。ケンウッドはホテルに向かおうとして、講演を聞きに来ていたヘンリー・パーシバルとキーラ・セドウィック夫妻に捕まり、彼等の自宅に案内された。
3人の子供達は大好きなニコ小父さんの来訪に大喜びしたが、ケンウッドの疲労を心配したキーラに寝室へと追い払われた。
「ローガンは君に似ていたと思ったが・・・」
とケンウッドは遅い夜食の席でパーシバルに囁いた。
「ちょっとハイネの面影が出てきたね。」
「そう思うかい?!」
パーシバルは嬉しそうだ。息子が父親より祖父に似ていることが嬉しいのだ。
「キーラは彼女に似ているだけだと取り合ってくれないんだよ。」
「キーラは父親似じゃないか。」
ケンウッドとパーシバルは笑いあった。
「ショシャナとシュラミスはそれぞれ個性が出てきたね。面白いな、同じ遺伝子を持っていても性格は違うんだ・・・JJが見れば、違うって言うだろうか?」
「その娘に一度会ってみたいね。どんな神経を持っているのかなぁ。」
キーラが戻ってくると3人でドームの人々の思い出話が始まった。キーラはドーマー達の近況を聞きたがった。彼女が取り上げた子供達だ。どの子も元気に働いているとケンウッドが言うと、恋愛はどうだ、と尋ねた。私生活までは干渉出来ないし、プライバシーを尊重しているので詳細は知らないと言い訳しつつも、耳に入った話はケンウッドも語った。それから、と彼はポール・レイン・ドーマーの近況を明かした。
レインがメーカーのラムゼイに捕まったこと、セイヤーズとクロエルが救出したこと、ラムゼイがサタジット・ラムジーだったこと、彼が非業の死を遂げたこと、レインが実の両親に面会したこと・・・
「まるで映画みたいな展開だな。」
とパーシバル。
「だけど、セイヤーズは大したヤツだよ。一人で生き抜いて、子供こしらえて、ちゃんとドーマーとしての躾も守っている。ハイネはどっちを選ぶのかな?」
「選ぶとは?」
ケンウッドはキョトンとしてパーシバルを見た。パーシバルがニヤッと笑った。
「後継者さ。」
「え?」
ケンウッドはドキッとした。ハイネの後継者など、今迄彼の意識になかったことだ。
「君は、ハイネが後継者にレインとセイヤーズのどちらかを選ぶと言うのかね?」
「違うよ。」
ケンウッドよりドーマーを理解している自負があるパーシバルは笑った。
「僕はポールを愛しているけど、彼が遺伝子管理局長になれる器とは思っていないんだ。あの子は生真面目だからね、ドーマー全員のリーダーと言う立場は重過ぎるよ。」
「それでは、君が考える候補は・・・」
キーラがパーシバルより先に打ち明けた。
「ダリル坊やとクロエルちゃんよ。局長はクロエルちゃんが南米から連れてこられた時から目をかけていたわ。」
「ああ・・・」
ケンウッドにも思い当たる節があった。ハイネは他の部下と話す時とクロエルと言葉を交わす時とで微妙に口調を変える。天真爛漫に育ったクロエル・ドーマーに彼も本音をぶつけている感じだ。だが・・・
「遺伝子管理局長は幹部経験者はなれないんじゃなかったかな・・・」
するとパーシバルが、レイン同様真面目な親友に言った。
「そんな慣習を守る男かい、ハイネは?」
3人の子供達は大好きなニコ小父さんの来訪に大喜びしたが、ケンウッドの疲労を心配したキーラに寝室へと追い払われた。
「ローガンは君に似ていたと思ったが・・・」
とケンウッドは遅い夜食の席でパーシバルに囁いた。
「ちょっとハイネの面影が出てきたね。」
「そう思うかい?!」
パーシバルは嬉しそうだ。息子が父親より祖父に似ていることが嬉しいのだ。
「キーラは彼女に似ているだけだと取り合ってくれないんだよ。」
「キーラは父親似じゃないか。」
ケンウッドとパーシバルは笑いあった。
「ショシャナとシュラミスはそれぞれ個性が出てきたね。面白いな、同じ遺伝子を持っていても性格は違うんだ・・・JJが見れば、違うって言うだろうか?」
「その娘に一度会ってみたいね。どんな神経を持っているのかなぁ。」
キーラが戻ってくると3人でドームの人々の思い出話が始まった。キーラはドーマー達の近況を聞きたがった。彼女が取り上げた子供達だ。どの子も元気に働いているとケンウッドが言うと、恋愛はどうだ、と尋ねた。私生活までは干渉出来ないし、プライバシーを尊重しているので詳細は知らないと言い訳しつつも、耳に入った話はケンウッドも語った。それから、と彼はポール・レイン・ドーマーの近況を明かした。
レインがメーカーのラムゼイに捕まったこと、セイヤーズとクロエルが救出したこと、ラムゼイがサタジット・ラムジーだったこと、彼が非業の死を遂げたこと、レインが実の両親に面会したこと・・・
「まるで映画みたいな展開だな。」
とパーシバル。
「だけど、セイヤーズは大したヤツだよ。一人で生き抜いて、子供こしらえて、ちゃんとドーマーとしての躾も守っている。ハイネはどっちを選ぶのかな?」
「選ぶとは?」
ケンウッドはキョトンとしてパーシバルを見た。パーシバルがニヤッと笑った。
「後継者さ。」
「え?」
ケンウッドはドキッとした。ハイネの後継者など、今迄彼の意識になかったことだ。
「君は、ハイネが後継者にレインとセイヤーズのどちらかを選ぶと言うのかね?」
「違うよ。」
ケンウッドよりドーマーを理解している自負があるパーシバルは笑った。
「僕はポールを愛しているけど、彼が遺伝子管理局長になれる器とは思っていないんだ。あの子は生真面目だからね、ドーマー全員のリーダーと言う立場は重過ぎるよ。」
「それでは、君が考える候補は・・・」
キーラがパーシバルより先に打ち明けた。
「ダリル坊やとクロエルちゃんよ。局長はクロエルちゃんが南米から連れてこられた時から目をかけていたわ。」
「ああ・・・」
ケンウッドにも思い当たる節があった。ハイネは他の部下と話す時とクロエルと言葉を交わす時とで微妙に口調を変える。天真爛漫に育ったクロエル・ドーマーに彼も本音をぶつけている感じだ。だが・・・
「遺伝子管理局長は幹部経験者はなれないんじゃなかったかな・・・」
するとパーシバルが、レイン同様真面目な親友に言った。
「そんな慣習を守る男かい、ハイネは?」