2019年1月2日水曜日

新生活 2 2 - 8

 翌日の午後、ケンウッドがハイネと共にジムで筋肉トレーニングで汗をかいて休憩スペースに入ったところで、ハイネの端末に電話が入っているとロッカールームの整備係が教えてくれた。ハイネはケンウッドに断ってロッカールームに行ったが、10分も経たぬうちに戻ってきた。ケンウッドに訊かれもしないうちに説明した。

「セイヤーズがジェリー・パーカーへの面会を求めてきました。ラムゼイが死んだことを教えてやっても良いかとも訊いてきました。」
「なんて答えたんだね?」
「パーカーは中央研究所の管理下に入ったので、長官か副長官に許可をもらえと言っておきました。」
「ああ・・・こっちに丸投げしてくれたのか。」

 ケンウッドは苦笑した。そこへ再び整備係が呼び出しをかけてきた。

「ケンウッド長官、ロッカールームで電話が鳴っています。」

 ケンウッドは肩をすくめた。

「ゴーンにかけてくれれば良いものを・・・」

 急いでロッカールームに行き、既に黙り込んでいる端末をロッカーから出して、かけてきた相手に電話を入れた。案の定、ダリル・セイヤーズからだった。

「長官、トレーニングの最中に申し訳ありません。」
「知っていてかけたのだろう? パーカーと面会したいそうだね。」
「はい。許可を頂けますか?」
「面会希望の理由は何だね?」
「それは・・・」

 セイヤーズは少し躊躇ってから言った。

「ラムゼイを暗殺して得する人物に心当たりはないか、尋ねたいのです。」
「それで、ラムゼイの死を彼に教えると言うのだね?」
「はい。」
「ラムゼイを死なせた人物を知って、君はどうするのだ?」
「それは・・・」

 気になることがあればとことん追求するのが好きな少年だったセイヤーズを、ケンウッドは思い出した。そっと釘を刺した。

「警察の仕事に遺伝子管理局は介入してはならん。」
「わかっています。しかし・・・」
「君はドームから出られない身だぞ。」
「・・・」

 電話の向こうでセイヤーズの溜め息が聞こえた。さぁ、どうする? とケンウッドが心の中で問うと、まるでそれが聞こえたかの様にセイヤーズが言った。

「ドームから警察に電話して情報提供は出来ますよね?」
「どこの警察だね?」
「セント・アイブスです。あちらの殺人課の刑事と知り合いになりました。」

 誰とでも友達になれる人間は何処にでもいるものだ。ケンウッドは折れてやることにした。

「わかった。今夜パーカーの調子が良ければ面会を許可する。但し、君一人で会ってはいけない。君は身分的に局員ではないし、幹部でもない。必ずレインかワグナー、或いは他のチームリーダーを同伴すること。監視員が面会を中止せよと言えば、必ず従いなさい。」
「承知しました。有り難うございます。」

 通話を終えたケンウッドは、ジェリー・パーカーが育て親の死を知らされて錯乱しないかと心配になったので、ヤマザキに電話をかけておくことにした。