2019年1月20日日曜日

対面 2 2 - 5

 ケンウッドは久しぶりに研究に没頭した。長官の仕事もこなしているが、重要案件以外は秘書任せだ。副長官も多忙だが、ケンウッドの比ではなく、彼女は長官代理も務めて彼を助けた。
 ハイネ局長は昼前の打ち合わせ会が短くて喜んでいたが、ケンウッドと話をする時間が減って少し寂しそうだった。
 昼食を短く切り上げてケンウッドが研究室に去った後、一人でテーブル前に座っているハイネの前にヤマザキ医療区長が座った。

「最近は一人でいることが多いね、局長。」
「長官が忙しいからですよ。」

 ヤマザキは自身も忙しい身でもいつものんびりしている風に見えた。食事はボリュームがあって簡単に済ませられる丼物やワンプレートランチが多い。だから時々ハイネの食べ物を横取りする。ハイネは文句を言うが、阻止する気配はない。寧ろ取られることを喜んでいるみたいだ。この時もヤマザキは彼の皿からソーセージを一切れ取った。

「ケンさんが取り組んでいる研究が功を成せば、このドームは無用の施設になるなぁ。」
「何年先の話です?」
「さぁ・・・1世代分かな。」

 ヤマザキは目の前の老ドーマーを見た。

「君をドームの外に放り出したりしないよ、地球人類復活委員会はそこ迄非道じゃない。」

 ハイネは笑っただけだった。

「ケンさんは本当にここに残るだろうなぁ。後始末が厄介だからね。長官職から引退するとしても、きっと委員会に頼み込んででも地球に残ってドーマーの社会復帰やドームとの取引で成長してきた企業の新しい生きる道を考えたり、案外今より忙しく生きる男だろうよ。」
「ドーマーの社会教育や企業の新しい進路ですか。」

 ハイネが呟いた。

「私はどちらも力になれませんね。この中しか知りませんから。」
「否、君がいなければ、あの男は落ち着かないよ。君の存在が彼がここで働く理由にもなっている。」
「何ですか、それ?」

 ハイネがキョトンとしたので、ヤマザキは笑った。