2019年1月13日日曜日

対面 2 1 - 6

 ケンウッドは、2件の報告を保安課と遺伝子管理局内務捜査班から受けた。
 1件は、ジェリー・パーカーが無事に「お勤め」を果たし、着替えの後でドーマー達と一緒に食事に出かけたことだ。その後も彼を逮捕した北米南部班第1チームと行動を共にしているらしい。レインはパーカーに虐待されたことはなく、寧ろ庇ってもらったと証言していたし、セイヤーズはラムゼイに死なれて孤独になったパーカーに同情して友達を作らせようとしている。一生ドームの中で暮らしていく者同士、仲良くしたいのだ。この件はケンウッドを安心させた。
 しかし2件目は頂けなかった。セイヤーズの「お勤め」を担当した執政官に問題が生じたのだ。コンピュータが選んだ担当執政官は、よりにもよってレインのファンクラブのメンバー、アナトリー・ギル博士だった。ギルはレインを盲愛しているし、セイヤーズに嫉妬している。そしてセイヤーズにちょっかいを出して殴られ鼻を折られた。この体験が彼を怯えさせ、あろうことか「お勤め」に助っ人を呼んだのだ。届けのない執政官が「お勤め」のドーマーに触れるのは、地球人保護法に抵触する。助っ人として部屋に行ったのは、ジュリアン・ナカイ博士で、彼は金髪の男が好きだった。セイヤーズに触って、蹴飛ばされたのだ。
 セイヤーズは大人の対応をした。彼の力に驚いた執政官達に、部屋を出て行くよう命じ、ナースコールのボタンを押した。彼に注射された催淫剤に麻酔剤が混ぜられていることが判明し、薬剤管理室の調べで、すぐにナカイとギルの名が特定された。当然、中央研究所に詰めている内務捜査班の知れることとなった。
 ケンウッドはビル・フォーリー・ドーマー内務捜査班チーフにその夜に話し合おうと言って、取り敢えず急ぎの研究に取り掛かった。採取した生細胞が新鮮なうちにしておきたいことがあったのだ。地球人の為の研究だ。フォーリーも長官の「待ってくれ」に異議を唱えなかった。
 ケンウッドはレインの細胞と他の執政官が集めた細胞を分析した。いつもと変わらない結果だ。それを取り違えないよう細心の注意を払ってサンプル化し、小会議室にギルを除く「お勤め」に参加した執政官達を集めた。程なくラナ・ゴーン副長官が、JJ・ベーリングを連れて現れた。