JJは無邪気にポール・レイン・ドーマーに対する彼女の感情を表現した。彼女は生まれたから世間に隠されて育てられた。知っている男性と言えば、両親の仕事仲間のメーカーたちばかりだった。ポールはメーカーではない、彼女が初めて接した異色の人間の1人だ。だから、ポールは彼女の感情を接触テレパスで知っても素直に受け入れられない。彼女が純粋故に、彼女を何時か傷つけるのではないかと恐れているのだ。
つまり、ポールもJJが好きなんだ!
ダリルは親友且つ恋人である人間の心理状態に思い当たり、当惑した。ダリルもポールも互いが異性を好きになることに対して抵抗がない。それが生物として自然なことだと、幼少時からみっちり教育されているからだ。もし、ポールが人妻であるキャリーに恋愛感情を抱いても、ダリルは驚かなかっただろう。しかし、実際は、ポールはJJに心を動かされている。多分、人質になっていた時間に、トラックの荷台で2人はずっとテレパシーで交流していたのだ。邪心のない、素直な感情で数時間一緒に過ごしていた。彼女が好きだから、ポールはこのディナーの席で緊張しているのだ。周囲に自身の感情を気づかれまいとして。
ダリルの当惑は、2人の歳の差が原因ではない。JJは特殊な誕生の仕方をした。だから、ドームは彼女を研究対象と見なしている。彼女の恋愛を認めるだろうか? しかも、ポール・レイン・ドーマーと言う男も、ドームにとっては特別な存在だ。遺伝子的にも、政治的にも、能力的にも。ドームは、ポールの妻帯にも口出しするはずだ。勝手に恋愛するなよ、と。男同士なら自由を認めるが、女性はドームが決める。
ラナ・ゴーン副長官は、ただのJJのご機嫌取りでこのディナーをセッティングしたのだろうか? それともドームは2人の交際を認めるつもりなのか?
ダリルは副長官の表情をそっと伺った。ラナ・ゴーンはJJではなくポールの反応を観察している様に見えた。
食事が始まると、JJはワグナー夫妻にドームの中の生活についていろいろ質問した。無口になったポールと、ドームに復帰して間もないダリルより、夫妻に尋ねた方が役立つと賢明に判断したのだ。子供っぽいが、大人の片鱗も見せる彼女の言葉にキャリーは面白がっているし、クラウスも会話を楽しんでいる。ポールは時々話を降られて渋々応答する。
ラナ・ゴーンが飲み物の追加を取りにカウンターへ立ったので、ダリルは手伝いましょう、と追いかけた。
トレイにグラスを並べる彼女に声を掛けた。
「ポールとJJをカップリングさせるおつもりですか?」
ラナ・ゴーンが彼をちらりと見た。
「彼氏を盗られるのは嫌なの?」
「そんなんじゃなくて・・・」
「JJの友達は、今のところ、あのテーブルに居るメンバーだけなのよ。だから、彼女の精神を安定させる為に、今夜の会食をセッティングしただけ。」
「本当にそれだけですか?」
「レインの反応を見たかったのは確かよ。彼はケンウッド長官に事件当時の証言をした時、何故かJJの話題だけは避けたの。長時間トラックの中で一緒に居たのに変だと長官は感じて、彼の心理を分析したくなったのね。」
「彼の心理分析なんかして、どうなさるのです?」
「レインは貴方だけでなく、女性も普通に愛せるとわかったわ。」
「それはどう言う・・・?」
「愛する人間がドームの中に2人も居ると言うことは、彼は外へは出て行かない。」
「JJと私が足枷だと?」
「彼の大切な人達と言うことよ。」
ラナ・ゴーンがダリルの目をまっすぐに見た。
「レインをアーシュラに会わせると良いわ。彼は絶対に戻って来る。」
つまり、ポールもJJが好きなんだ!
ダリルは親友且つ恋人である人間の心理状態に思い当たり、当惑した。ダリルもポールも互いが異性を好きになることに対して抵抗がない。それが生物として自然なことだと、幼少時からみっちり教育されているからだ。もし、ポールが人妻であるキャリーに恋愛感情を抱いても、ダリルは驚かなかっただろう。しかし、実際は、ポールはJJに心を動かされている。多分、人質になっていた時間に、トラックの荷台で2人はずっとテレパシーで交流していたのだ。邪心のない、素直な感情で数時間一緒に過ごしていた。彼女が好きだから、ポールはこのディナーの席で緊張しているのだ。周囲に自身の感情を気づかれまいとして。
ダリルの当惑は、2人の歳の差が原因ではない。JJは特殊な誕生の仕方をした。だから、ドームは彼女を研究対象と見なしている。彼女の恋愛を認めるだろうか? しかも、ポール・レイン・ドーマーと言う男も、ドームにとっては特別な存在だ。遺伝子的にも、政治的にも、能力的にも。ドームは、ポールの妻帯にも口出しするはずだ。勝手に恋愛するなよ、と。男同士なら自由を認めるが、女性はドームが決める。
ラナ・ゴーン副長官は、ただのJJのご機嫌取りでこのディナーをセッティングしたのだろうか? それともドームは2人の交際を認めるつもりなのか?
ダリルは副長官の表情をそっと伺った。ラナ・ゴーンはJJではなくポールの反応を観察している様に見えた。
食事が始まると、JJはワグナー夫妻にドームの中の生活についていろいろ質問した。無口になったポールと、ドームに復帰して間もないダリルより、夫妻に尋ねた方が役立つと賢明に判断したのだ。子供っぽいが、大人の片鱗も見せる彼女の言葉にキャリーは面白がっているし、クラウスも会話を楽しんでいる。ポールは時々話を降られて渋々応答する。
ラナ・ゴーンが飲み物の追加を取りにカウンターへ立ったので、ダリルは手伝いましょう、と追いかけた。
トレイにグラスを並べる彼女に声を掛けた。
「ポールとJJをカップリングさせるおつもりですか?」
ラナ・ゴーンが彼をちらりと見た。
「彼氏を盗られるのは嫌なの?」
「そんなんじゃなくて・・・」
「JJの友達は、今のところ、あのテーブルに居るメンバーだけなのよ。だから、彼女の精神を安定させる為に、今夜の会食をセッティングしただけ。」
「本当にそれだけですか?」
「レインの反応を見たかったのは確かよ。彼はケンウッド長官に事件当時の証言をした時、何故かJJの話題だけは避けたの。長時間トラックの中で一緒に居たのに変だと長官は感じて、彼の心理を分析したくなったのね。」
「彼の心理分析なんかして、どうなさるのです?」
「レインは貴方だけでなく、女性も普通に愛せるとわかったわ。」
「それはどう言う・・・?」
「愛する人間がドームの中に2人も居ると言うことは、彼は外へは出て行かない。」
「JJと私が足枷だと?」
「彼の大切な人達と言うことよ。」
ラナ・ゴーンがダリルの目をまっすぐに見た。
「レインをアーシュラに会わせると良いわ。彼は絶対に戻って来る。」