翌朝、ダリルとポールは朝食を摂る為に研究所の食堂へ行った。チームリーダー達も一緒だ。ドーマー達が集合している時は、ファンクラブも寄って来ない。それに集まっている面子を見れば、仕事の打ち合わせを兼ねた朝食会だとわかる。
クラウスは今回近場の都市を廻るので時間に余裕があるが、朝食は既にアパートで妻と済ませてきたので、珈琲だけだ。2チームは内勤の日で、3チームが外に出かけるのだが、第4チームは昨日から泊まりがけの支局巡りでドーム内に居ない。ダリルは秘書らしく全チームの予定を読み上げてチーフの確認を取った。
打ち合わせはそれだけだ。仕事内容は局員各自でスケジュールを立てているから、特別な行動を取る以外は何も話し会う必要はない。集まって朝食を摂りたいと言う、ただそれだけの打ち合わせ会だ。
ドーマーは家族だから
第5チームのジョージ・ルーカス・ドーマーが、例のパパラッチサイトをチェックした。撮影が趣味なので、パパラッチの仕事の出来映えが気になるのだ。
「今朝のアクセス数ナンバー1は、『レインVSセイヤーズ、レインは勝利するもキスを奪えず!』ですね。」
「はぁ? そんなものまでアップされているのか?」
「素晴らしい動画ですよ。また『海賊屋』が投稿者に無断でダウンロードしてチップで売り出すでしょう。」
ドーマーの中に、執政官相手に動画や画像の海賊版を販売する『闇商売』をしている人間がいるのだ。幹部は取り締まろうとするのだが、なかなか正体を掴めない。購入する人々の口が固いせいだ。
「アクセス数ナンバー2は、『キャリー・ワグナー先生のドレス姿』、うん、いつ見ても彼女は美人だ!」
「そんなの見なくて良いよ、ジョージ。」
「いいじゃないか、減るもんじゃなし・・・それにチーフがデートしてるなんて、滅多に見られないぞ。」
「ぬあんだってぇ?」
全員が一斉に各自端末を出した。ポールまでもが慌ててサイトを開いた。10枚の連写画像で、ワグナー夫妻をダシにして隠し撮りした、正にパパラッチ画像だ。JJがポールの腕に手を掛け、2人は親しげに顔を近づけて見つめ合っている・・・
「これは誤解だ。」
とポール。
「ただの会話だ。彼女は声を出せないので、接触テレパスで話し掛けてくるんだ。」
「へー・・・」
「ふーん・・・」
「ファンクラブはそうは取らないでしょうね。キエフも・・・」
「ヤツの名を朝っぱらから出すな。」
ダリルは笑ったが、最後の画像を見て凍り付いた。
カウンター前で、副長官と立ち話している場面を撮られていたのだが、ダリルの視線がラナ・ゴーンの胸に向けられている、と取れる角度だった。彼の方が身長があるので、どうしても見下ろすと彼女の胸の谷間が見えたのは確かだ。
「『セイヤーズ、やっぱり山が恋しいか?』だって・・・何処見てたんだ、セイヤーズ?」
ジョージ・ルーカスがニヤニヤ笑った。ポールの方はからかう気力を失っているみたいで、JJが危険に晒されなければ良いが、と心配している。
クラウスは今回近場の都市を廻るので時間に余裕があるが、朝食は既にアパートで妻と済ませてきたので、珈琲だけだ。2チームは内勤の日で、3チームが外に出かけるのだが、第4チームは昨日から泊まりがけの支局巡りでドーム内に居ない。ダリルは秘書らしく全チームの予定を読み上げてチーフの確認を取った。
打ち合わせはそれだけだ。仕事内容は局員各自でスケジュールを立てているから、特別な行動を取る以外は何も話し会う必要はない。集まって朝食を摂りたいと言う、ただそれだけの打ち合わせ会だ。
ドーマーは家族だから
第5チームのジョージ・ルーカス・ドーマーが、例のパパラッチサイトをチェックした。撮影が趣味なので、パパラッチの仕事の出来映えが気になるのだ。
「今朝のアクセス数ナンバー1は、『レインVSセイヤーズ、レインは勝利するもキスを奪えず!』ですね。」
「はぁ? そんなものまでアップされているのか?」
「素晴らしい動画ですよ。また『海賊屋』が投稿者に無断でダウンロードしてチップで売り出すでしょう。」
ドーマーの中に、執政官相手に動画や画像の海賊版を販売する『闇商売』をしている人間がいるのだ。幹部は取り締まろうとするのだが、なかなか正体を掴めない。購入する人々の口が固いせいだ。
「アクセス数ナンバー2は、『キャリー・ワグナー先生のドレス姿』、うん、いつ見ても彼女は美人だ!」
「そんなの見なくて良いよ、ジョージ。」
「いいじゃないか、減るもんじゃなし・・・それにチーフがデートしてるなんて、滅多に見られないぞ。」
「ぬあんだってぇ?」
全員が一斉に各自端末を出した。ポールまでもが慌ててサイトを開いた。10枚の連写画像で、ワグナー夫妻をダシにして隠し撮りした、正にパパラッチ画像だ。JJがポールの腕に手を掛け、2人は親しげに顔を近づけて見つめ合っている・・・
「これは誤解だ。」
とポール。
「ただの会話だ。彼女は声を出せないので、接触テレパスで話し掛けてくるんだ。」
「へー・・・」
「ふーん・・・」
「ファンクラブはそうは取らないでしょうね。キエフも・・・」
「ヤツの名を朝っぱらから出すな。」
ダリルは笑ったが、最後の画像を見て凍り付いた。
カウンター前で、副長官と立ち話している場面を撮られていたのだが、ダリルの視線がラナ・ゴーンの胸に向けられている、と取れる角度だった。彼の方が身長があるので、どうしても見下ろすと彼女の胸の谷間が見えたのは確かだ。
「『セイヤーズ、やっぱり山が恋しいか?』だって・・・何処見てたんだ、セイヤーズ?」
ジョージ・ルーカスがニヤニヤ笑った。ポールの方はからかう気力を失っているみたいで、JJが危険に晒されなければ良いが、と心配している。