キャリーはセシリアが食い入る様に写真を眺めるを黙って観察していた。写真の被写体人物は皆一様に似ていた。リック・カールソンは中央に並んで立っている両親の母親の横に立っていた。両親の後ろには、軍人の弟、末っ子の弟、双子の姉の1人とその夫、父親の横にはもう1人の双子の姉と夫、前列には両親の孫達、つまり双子の姉のそれぞれの子供達が並んでいた。リックの隣には従兄弟達が数名いた。
血縁の家族と言うものを知らないドーマーにとっては、不思議な光景だ。映画やテレビで見たことはあるが・・・身近にいた人の親族を見るなど経験がない。
セシリアがキャリーに視線を向けた。目で説明を求めてきたので、セシリアはケンウッドの説明書きをそのまま説明した。
「同じ顔の女性が2人いるでしょう?」
「クローンね?」
「いいえ、双子よ。一卵性双生児、最初の受精卵は一つ、でも母親の胎内で2人に分かれたの。習ったこと、あるわよね?」
「ええ・・・でも・・・この人達・・・」
「リックのお姉さんよ。この写真の人々はカールソン家なの。」
セシリア・ドーマーの目に困惑の色が浮かんだ。キャリーが整理する為に尋ねた。
「リックは、貴女のオリジナルの弟だと言ったわよね?」
「ええ・・・でも・・・」
「その双子は貴女に似ていないわ。オリジナルなら、貴女はその双子とそっくりでなければならない。」
「でも・・・」
「双子の1人の名前はセシリアなの。でも、ドーマーの名前はお母さんからもらうのよ。貴女のオリジナルのお母さんの名前はセシリア、それは間違いないわ。でもその双子のセシリアとリックのお母さん、リックの隣に立っている女性ね、彼女の名前はエリザベート。」
「エリザベート?」
「エリザベート・ウェスト。彼女は受精卵を地球人類復活委員会に提供したことがない。コロニー人の4割が人工授精で子供を作るらしいの。地球人の母親になるクローンは、その人工授精した受精卵を母胎に入れる前に借りて作るの。でもウェストさんは自然な交わりで子供を作ったので、提供しなかった。」
セシリア・ドーマーの手から写真が床に落ちた。
「それでは・・・私は・・・」
彼女の声が震えた。
「私はリックの姉のクローンではないのね?」
「貴女は、ちゃんと別の人のクローンだとマザーに登録されているわ。」
「私は・・・」
「貴女がリックの姉のクローンだと言ったのは、誰?」
セシリア・ドーマーの目から涙が落ちた。
「私・・・オリジナルがコロニーで自由に暮らしているのに私が狭いドームで一生を生きるなんて不公平だと思った・・・」
「貴女の本当のオリジナルは確かにコロニーに居る筈よ。でも自由に生きているのかどうか、それはわからない。」
セシリアが振り向いたので、キャリーは優しく言った。
「コロニーにだって規則はいっぱいあるし、法律は当然あるわ。コロニーは規則を守らなければコロニー全体の生命の危険が生じるけれど、ドームはそんな心配がない。それにコロニーは空気がある場所が限られているから、広くないわよ。ドームの方が外の綺麗な風景が壁越しに見えるし、抗原注射を打って外に出かけることも出来る。女性ドーマーだって、外出の必要性を認めてもらえれば、出かけられるのよ。」
セシリアは首を強く振った。
「駄目よ! 私は人を殺してしまったのですもの!」
血縁の家族と言うものを知らないドーマーにとっては、不思議な光景だ。映画やテレビで見たことはあるが・・・身近にいた人の親族を見るなど経験がない。
セシリアがキャリーに視線を向けた。目で説明を求めてきたので、セシリアはケンウッドの説明書きをそのまま説明した。
「同じ顔の女性が2人いるでしょう?」
「クローンね?」
「いいえ、双子よ。一卵性双生児、最初の受精卵は一つ、でも母親の胎内で2人に分かれたの。習ったこと、あるわよね?」
「ええ・・・でも・・・この人達・・・」
「リックのお姉さんよ。この写真の人々はカールソン家なの。」
セシリア・ドーマーの目に困惑の色が浮かんだ。キャリーが整理する為に尋ねた。
「リックは、貴女のオリジナルの弟だと言ったわよね?」
「ええ・・・でも・・・」
「その双子は貴女に似ていないわ。オリジナルなら、貴女はその双子とそっくりでなければならない。」
「でも・・・」
「双子の1人の名前はセシリアなの。でも、ドーマーの名前はお母さんからもらうのよ。貴女のオリジナルのお母さんの名前はセシリア、それは間違いないわ。でもその双子のセシリアとリックのお母さん、リックの隣に立っている女性ね、彼女の名前はエリザベート。」
「エリザベート?」
「エリザベート・ウェスト。彼女は受精卵を地球人類復活委員会に提供したことがない。コロニー人の4割が人工授精で子供を作るらしいの。地球人の母親になるクローンは、その人工授精した受精卵を母胎に入れる前に借りて作るの。でもウェストさんは自然な交わりで子供を作ったので、提供しなかった。」
セシリア・ドーマーの手から写真が床に落ちた。
「それでは・・・私は・・・」
彼女の声が震えた。
「私はリックの姉のクローンではないのね?」
「貴女は、ちゃんと別の人のクローンだとマザーに登録されているわ。」
「私は・・・」
「貴女がリックの姉のクローンだと言ったのは、誰?」
セシリア・ドーマーの目から涙が落ちた。
「私・・・オリジナルがコロニーで自由に暮らしているのに私が狭いドームで一生を生きるなんて不公平だと思った・・・」
「貴女の本当のオリジナルは確かにコロニーに居る筈よ。でも自由に生きているのかどうか、それはわからない。」
セシリアが振り向いたので、キャリーは優しく言った。
「コロニーにだって規則はいっぱいあるし、法律は当然あるわ。コロニーは規則を守らなければコロニー全体の生命の危険が生じるけれど、ドームはそんな心配がない。それにコロニーは空気がある場所が限られているから、広くないわよ。ドームの方が外の綺麗な風景が壁越しに見えるし、抗原注射を打って外に出かけることも出来る。女性ドーマーだって、外出の必要性を認めてもらえれば、出かけられるのよ。」
セシリアは首を強く振った。
「駄目よ! 私は人を殺してしまったのですもの!」