「ところで長官・・・」
ハイネが何かを思い出して、ケンウッドを見た。
「今年の春分祭は何に扮装されるのです?」
ケンウッドはアッと声を上げて立ち止まった。爆発事件の騒ぎですっかり忘れていた。春分祭迄、残り一月だ。
「か・・・考えていなかった・・・」
不幸があったので、今年は中止しようと思っていたのだが、アメリカ・ドームより大きな被害を受けたアフリカ・ドームが春分祭をやると発表したので、アメリカでもやらないわけにも行かなくなった。地球人類復活委員会はテロに屈せずに地球に女性を誕生させる迄頑張るぞ! とアピールしなければならない。
ハイネは情報を集めてきていた。
「ガブリエルとヴェルティエンの副長官2人は、『ハイジ』をするそうです。」
「2人でハイジ?」
「ガブリエルがハイジで、ヴェルティエンがクララだそうですよ。」
「逆じゃないのか? 車椅子に乗っている方がクララだ。」
「ガブリエルは見えないだけで歩けるのですから、ヴェルティエンが座る車椅子に掴まって歩くのでしょう。」
副長官2人が2人の少女を演じるのであれば、ヤギは誰がするのだろう、とケンウッドはしょーもないことを考えてしまった。
「ケンタロウは楊貴妃をやると言っています。」
「楊貴妃?」
「古代の中国の美女です。」
「知っているよ。 傾国の美女の筈だ。」
「ケンタロウも化粧をすれば美人になりますよ。」
ヤマザキ・ケンタロウは毎年アジアの女になって挑戦するが、まだ優勝経験がない。しかし彼の豪華な衣装は女性執政官やテレビを見る視聴者には人気だ。ヤマザキは手作りで衣装を用意するのだ。忙しい医療区長が何時お裁縫をしているのか、誰も知らない。
兎に角、彼が作った衣装は春分祭の後のバザーで何時も高値で売れる。珍しいし、価値ある地球土産になるのだ。
ハイネはその後も知り得た情報をケンウッドに伝えた。ベックマンはジャンヌ・ダルクを選んだ。他にもキュリー夫人、マーガレット・サッチャー、エビータ(エヴァ・ペロン)、マリー・アントワネット、等等・・・。
ケンウッドは歩きながら悩み、ふとハイネを振り返った。そして呟いた。
「アン・シャーリーにしよう。」
ハイネが眉を上げた。
「貴方が?」
「うん。昔、美しいが、馬鹿でかいアン・シャーリーに出会ったことがあってね・・・」
ハイネが何かを思い出して、ケンウッドを見た。
「今年の春分祭は何に扮装されるのです?」
ケンウッドはアッと声を上げて立ち止まった。爆発事件の騒ぎですっかり忘れていた。春分祭迄、残り一月だ。
「か・・・考えていなかった・・・」
不幸があったので、今年は中止しようと思っていたのだが、アメリカ・ドームより大きな被害を受けたアフリカ・ドームが春分祭をやると発表したので、アメリカでもやらないわけにも行かなくなった。地球人類復活委員会はテロに屈せずに地球に女性を誕生させる迄頑張るぞ! とアピールしなければならない。
ハイネは情報を集めてきていた。
「ガブリエルとヴェルティエンの副長官2人は、『ハイジ』をするそうです。」
「2人でハイジ?」
「ガブリエルがハイジで、ヴェルティエンがクララだそうですよ。」
「逆じゃないのか? 車椅子に乗っている方がクララだ。」
「ガブリエルは見えないだけで歩けるのですから、ヴェルティエンが座る車椅子に掴まって歩くのでしょう。」
副長官2人が2人の少女を演じるのであれば、ヤギは誰がするのだろう、とケンウッドはしょーもないことを考えてしまった。
「ケンタロウは楊貴妃をやると言っています。」
「楊貴妃?」
「古代の中国の美女です。」
「知っているよ。 傾国の美女の筈だ。」
「ケンタロウも化粧をすれば美人になりますよ。」
ヤマザキ・ケンタロウは毎年アジアの女になって挑戦するが、まだ優勝経験がない。しかし彼の豪華な衣装は女性執政官やテレビを見る視聴者には人気だ。ヤマザキは手作りで衣装を用意するのだ。忙しい医療区長が何時お裁縫をしているのか、誰も知らない。
兎に角、彼が作った衣装は春分祭の後のバザーで何時も高値で売れる。珍しいし、価値ある地球土産になるのだ。
ハイネはその後も知り得た情報をケンウッドに伝えた。ベックマンはジャンヌ・ダルクを選んだ。他にもキュリー夫人、マーガレット・サッチャー、エビータ(エヴァ・ペロン)、マリー・アントワネット、等等・・・。
ケンウッドは歩きながら悩み、ふとハイネを振り返った。そして呟いた。
「アン・シャーリーにしよう。」
ハイネが眉を上げた。
「貴方が?」
「うん。昔、美しいが、馬鹿でかいアン・シャーリーに出会ったことがあってね・・・」