ケンウッドは観察棟のハイネの仮局長室の前で躊躇っていた。まだ報告するのは早いのではないかとも思えたのだが、もし推測が当たっていれば早い方が良い。時刻は午前3時だ。コロニー人にはあまり意味がないが、地球人は爆睡している時刻だから、起こすのは酷だと思えた。しかし問題は深刻だ。彼の背後でクーリッジ保安課長が咳払いした。ケンウッドがドアを開けないのなら、彼が自身でノックすると無言で言ったのだ。
ケンウッドは決心してドアを叩いた。当然返答はない。彼はドアを開いた。観察棟は被収容者が消灯しても誰かが入室すれば自動的に照明が点く。ドア付近の物音と照明の点灯でハイネが目覚めたのか、ベッドの上で動くのが見えた。ケンウッドは思い切って声を掛けた。
「ハイネ局長、夜分に申し訳ない・・・」
クーリッジ保安課長も声を掛けた。
「局長、ケンウッド博士とクーリッジだ。起こしてすまないが、緊急用件だ。」
ハイネが上体を起こした。まだ覚醒しきれていないのか、片手で目をこすっている、その脇へ2人のコロニー人は近づいた。ハイネが枕の下から端末を出して時刻を見た。そして呻く様な声で尋ねた。
「緊急用件とは?」
ケンウッドとクーリッジが殆ど同時に言った。
「セイヤーズが行方不明だ。」
「直便のドーマーが無断で外出した。」
ハイネが彼等の顔を見た。青みがかった薄いグレーの瞳に次第に光りが増してきた。
彼はケンウッドを見つめ、それからクーリッジに視線を移して、保安課長に尋ねた。
「外出とは、ドームの外へ出たと言うことですか?」
「そうだ。ゲートのモニターで確認した。昨日の午後1時頃に、セイヤーズは1人でドームから出て、空港に行かずに姿を消した。どの飛行機にも乗っていないから、西ユーラシアへ帰ったのではない。」
ハイネはケンウッドに視線を戻した。そしてまた尋ねた。
「レインは一緒ではないのですね?」
「レインが彼の不在に気が付いた。探したが見つからないので、パーシバル達に協力を求めてきたんだ。」
ハイネは一瞬目を遠くを見るように宙へ向けた。そしていきなり枕を掴んで床に叩きつけたので、ケンウッドとクーリッジはびっくりした。
ハイネはベッドから降りて執務机のコンピュータを起動させた。
「保安課長、ゲートのモニター映像をここへ呼んで下さい。もう1度検証します。」
ケンウッドは決心してドアを叩いた。当然返答はない。彼はドアを開いた。観察棟は被収容者が消灯しても誰かが入室すれば自動的に照明が点く。ドア付近の物音と照明の点灯でハイネが目覚めたのか、ベッドの上で動くのが見えた。ケンウッドは思い切って声を掛けた。
「ハイネ局長、夜分に申し訳ない・・・」
クーリッジ保安課長も声を掛けた。
「局長、ケンウッド博士とクーリッジだ。起こしてすまないが、緊急用件だ。」
ハイネが上体を起こした。まだ覚醒しきれていないのか、片手で目をこすっている、その脇へ2人のコロニー人は近づいた。ハイネが枕の下から端末を出して時刻を見た。そして呻く様な声で尋ねた。
「緊急用件とは?」
ケンウッドとクーリッジが殆ど同時に言った。
「セイヤーズが行方不明だ。」
「直便のドーマーが無断で外出した。」
ハイネが彼等の顔を見た。青みがかった薄いグレーの瞳に次第に光りが増してきた。
彼はケンウッドを見つめ、それからクーリッジに視線を移して、保安課長に尋ねた。
「外出とは、ドームの外へ出たと言うことですか?」
「そうだ。ゲートのモニターで確認した。昨日の午後1時頃に、セイヤーズは1人でドームから出て、空港に行かずに姿を消した。どの飛行機にも乗っていないから、西ユーラシアへ帰ったのではない。」
ハイネはケンウッドに視線を戻した。そしてまた尋ねた。
「レインは一緒ではないのですね?」
「レインが彼の不在に気が付いた。探したが見つからないので、パーシバル達に協力を求めてきたんだ。」
ハイネは一瞬目を遠くを見るように宙へ向けた。そしていきなり枕を掴んで床に叩きつけたので、ケンウッドとクーリッジはびっくりした。
ハイネはベッドから降りて執務机のコンピュータを起動させた。
「保安課長、ゲートのモニター映像をここへ呼んで下さい。もう1度検証します。」