回廊は長く、途中で出ることは出来ない。ケンウッドとパーシバルは時間をかけて外に出たが、まだ視察団は出産管理区から出ていなかった。もしかするとそのままクローン製造区画へ向かったのかも知れない。
ケンウッドとパーシバルは医療区へ少し後戻りした。そこではヤマザキ・ケンタロウが「通過」のドーマーの診察を終えて報告書を製作中だった。ヤマザキはパーシバルを見ても特に感動しなかった。重力休暇で宇宙へ帰れば必ず一緒に飲むのだ。寧ろ彼の助手を勤めているドーマー達がお騒ぎした。パーシバルはまだアメリカ・ドームの人気者だった。
次々に握手を求められて、パーシバルは手が痛くなると彼等に苦情を言って笑わせた。その間にヤマザキは報告書を終わらせ、コンピュータを閉じた。
「さて、爺さんの部屋に行くかね?」
「勿論だ。」
「君が帰って来ることはまだ言っていない。」
「そうだろうな、さっきの看護師達の騒ぎようを見れば察しがつくよ。」
パーシバルはケンウッドとヤマザキにポケットの中に入れた小箱をチラリと見せた。消毒班に特別扱いさせた食物だ。
3人は入院病棟に入った。そこではその日の朝に「捕獲された」遺伝子管理局長があらかじめ準備されていた仕事部屋で業務に励んでいた。建前は入院なので仕方なくお仕着せの寝巻きを身につけて、普段通りの誕生と死亡のリストに署名を入れる業務を続けていた。なぁ、とパーシバルがヤマザキとケンウッドに声を掛けた。
「なんで視察団が来るとハイネは隔離されるんだ?」
ヤマザキが答えた。
「視察団を凶暴なドーマーから守る為だよ。」
ケンウッドが苦笑しながら補足した。
「視察団の中にはドーマーにちょっかいを出す人がたまにいるだろう? ハイネがそれを知ったら怒るから、出資者様に失礼がないように彼を遠ざけておくのさ。」
「だけどドーマー達はコロニー人が彼に興味を持つので彼をコロニー人から守る為に僕等が気を利かせていると信じている。」
ヤマザキの言葉に、はっはっと笑い、パーシバルは隔離室入り口の消毒ミストを浴びて中に入った。物音でハイネが振り返った。パーシバルは笑顔で両腕を広げた。
「ヤァ、元気そうでなに・・・うっ!」
ローガン・ハイネ・ドーマーは電光石火の早業でヘンリー・パーシバルに飛びつき、力一杯抱き締めた。ギュッと彼を抱え込んだまま、後から入ってきたケンウッドに報告した。
「長官、旧知のコロニー人によく似た侵入者を捕獲しました。妙にチーズ臭いのですが。」
ケンウッドとヤマザキは思わず笑い転げた。
ケンウッドとパーシバルは医療区へ少し後戻りした。そこではヤマザキ・ケンタロウが「通過」のドーマーの診察を終えて報告書を製作中だった。ヤマザキはパーシバルを見ても特に感動しなかった。重力休暇で宇宙へ帰れば必ず一緒に飲むのだ。寧ろ彼の助手を勤めているドーマー達がお騒ぎした。パーシバルはまだアメリカ・ドームの人気者だった。
次々に握手を求められて、パーシバルは手が痛くなると彼等に苦情を言って笑わせた。その間にヤマザキは報告書を終わらせ、コンピュータを閉じた。
「さて、爺さんの部屋に行くかね?」
「勿論だ。」
「君が帰って来ることはまだ言っていない。」
「そうだろうな、さっきの看護師達の騒ぎようを見れば察しがつくよ。」
パーシバルはケンウッドとヤマザキにポケットの中に入れた小箱をチラリと見せた。消毒班に特別扱いさせた食物だ。
3人は入院病棟に入った。そこではその日の朝に「捕獲された」遺伝子管理局長があらかじめ準備されていた仕事部屋で業務に励んでいた。建前は入院なので仕方なくお仕着せの寝巻きを身につけて、普段通りの誕生と死亡のリストに署名を入れる業務を続けていた。なぁ、とパーシバルがヤマザキとケンウッドに声を掛けた。
「なんで視察団が来るとハイネは隔離されるんだ?」
ヤマザキが答えた。
「視察団を凶暴なドーマーから守る為だよ。」
ケンウッドが苦笑しながら補足した。
「視察団の中にはドーマーにちょっかいを出す人がたまにいるだろう? ハイネがそれを知ったら怒るから、出資者様に失礼がないように彼を遠ざけておくのさ。」
「だけどドーマー達はコロニー人が彼に興味を持つので彼をコロニー人から守る為に僕等が気を利かせていると信じている。」
ヤマザキの言葉に、はっはっと笑い、パーシバルは隔離室入り口の消毒ミストを浴びて中に入った。物音でハイネが振り返った。パーシバルは笑顔で両腕を広げた。
「ヤァ、元気そうでなに・・・うっ!」
ローガン・ハイネ・ドーマーは電光石火の早業でヘンリー・パーシバルに飛びつき、力一杯抱き締めた。ギュッと彼を抱え込んだまま、後から入ってきたケンウッドに報告した。
「長官、旧知のコロニー人によく似た侵入者を捕獲しました。妙にチーズ臭いのですが。」
ケンウッドとヤマザキは思わず笑い転げた。