クロエル・ドーマーがポール・レイン・ドーマーとJJを連れてやって来るのが見えた。ポールは古着のジャージ姿だが、妙に様になっている。彼は何を着ても似合うんだ、とダリルは今さながら感心した。
ライサンダーを体から離し、JJが来るぞと囁くと、息子は慌てて涙を手で拭った。ダリルはハンカチを貸し与えた。
JJがポールの手から離れて駆け寄って来た。勢いでライサンダーを押しのけ、ダリルに抱きついた。ダリルは彼女の頬に涙の痕があるのを見たが、それには触れずに、彼女をハグして、
「無事で良かった、JJ。 元気だったか?」
と声を掛けた。JJは笑って見せた。それからライサンダーにも抱きついた。ライサンダーは『妹』に銃撃戦は恐くなかったかと尋ねた。JJは恐かったと指文字で答えた。
ーーでもPがいてくれたからだいじょうぶ
ダリルはポールをちらりと見た。
疲れているだろうに少女の感情を全部受け止めたのか。
彼は近くに来たポールを無視してクロエル・ドーマーに尋ねた。
「味方の損害は?」
「警官が2名銃傷を受けたが、命に別状はなし。局員は全員無事。北米南部班は優秀だね。」
「チーフは誘拐される阿呆ゥだけどね。」
ダリルにからかわれてポールはムッとしたが、救出されたばかりなので、言い返すのは止めた。それに彼は疲れていた。ほとんど満足に眠っていないし、ほんの少し前まで少女の激しい感情の爆発を受け止めたばかりだ。
ポールが何も言わないので、その体調を本気で心配してやるべきだな、とダリルは判断した。
「リュックは何処だ、クロエル?」
「あの堅物君は・・・」
クロエルは目で誰かを探した。
「あー、トラックの積荷の押収の真っ最中だねぇ。メーカーどもは大方捕縛しちまったみたいだ。」
すると、ポールが思い出したようにライサンダーに声を掛けた。
「パーカーは何処だ、ライサンダー?」
「ジェリー? 彼は・・・あそこ・・・」
ライサンダーはラムゼイの秘書の存在を思い出して、野原を振り返った。
草の中を歩いて行くジェリー・パーカーの姿はもうかなり小さくなっていた。ポールが呆れたと言いたげに呟いた。
「部下を置いて1人で逃げるつもりか?」
「そうじゃない・・・」
とライサンダーはトラックを降りた時のジェリーの様子を思い出した。
「なんだか様子がおかしかった。急に何かに取り憑かれたみたいな・・・」
「兎に角、この集団の頭だろ? 捕まえなきゃ。」
クロエルはピッと指笛を吹いた。近くにいた局員数名がそれを耳にして振り返った。クロエルは片手を揚げて、それを水平に、パーカーが歩いて行く方角へ向けた。追え、と言う合図と解釈した部下達はそばの車に乗り込んだ。
ライサンダーを体から離し、JJが来るぞと囁くと、息子は慌てて涙を手で拭った。ダリルはハンカチを貸し与えた。
JJがポールの手から離れて駆け寄って来た。勢いでライサンダーを押しのけ、ダリルに抱きついた。ダリルは彼女の頬に涙の痕があるのを見たが、それには触れずに、彼女をハグして、
「無事で良かった、JJ。 元気だったか?」
と声を掛けた。JJは笑って見せた。それからライサンダーにも抱きついた。ライサンダーは『妹』に銃撃戦は恐くなかったかと尋ねた。JJは恐かったと指文字で答えた。
ーーでもPがいてくれたからだいじょうぶ
ダリルはポールをちらりと見た。
疲れているだろうに少女の感情を全部受け止めたのか。
彼は近くに来たポールを無視してクロエル・ドーマーに尋ねた。
「味方の損害は?」
「警官が2名銃傷を受けたが、命に別状はなし。局員は全員無事。北米南部班は優秀だね。」
「チーフは誘拐される阿呆ゥだけどね。」
ダリルにからかわれてポールはムッとしたが、救出されたばかりなので、言い返すのは止めた。それに彼は疲れていた。ほとんど満足に眠っていないし、ほんの少し前まで少女の激しい感情の爆発を受け止めたばかりだ。
ポールが何も言わないので、その体調を本気で心配してやるべきだな、とダリルは判断した。
「リュックは何処だ、クロエル?」
「あの堅物君は・・・」
クロエルは目で誰かを探した。
「あー、トラックの積荷の押収の真っ最中だねぇ。メーカーどもは大方捕縛しちまったみたいだ。」
すると、ポールが思い出したようにライサンダーに声を掛けた。
「パーカーは何処だ、ライサンダー?」
「ジェリー? 彼は・・・あそこ・・・」
ライサンダーはラムゼイの秘書の存在を思い出して、野原を振り返った。
草の中を歩いて行くジェリー・パーカーの姿はもうかなり小さくなっていた。ポールが呆れたと言いたげに呟いた。
「部下を置いて1人で逃げるつもりか?」
「そうじゃない・・・」
とライサンダーはトラックを降りた時のジェリーの様子を思い出した。
「なんだか様子がおかしかった。急に何かに取り憑かれたみたいな・・・」
「兎に角、この集団の頭だろ? 捕まえなきゃ。」
クロエルはピッと指笛を吹いた。近くにいた局員数名がそれを耳にして振り返った。クロエルは片手を揚げて、それを水平に、パーカーが歩いて行く方角へ向けた。追え、と言う合図と解釈した部下達はそばの車に乗り込んだ。