JJがジェリー・パーカーと共に戻って来た。ジェリーは先刻の「積荷泥棒」騒動を承知していたし、ヘリのパイロットがどうなったのか、部下から報告を受けていた。彼は敢えてそれを捕虜に教えるつもりはなかった。
荷台に入ってポール・レイン・ドーマーが縛られたままで無傷であることも確認した。彼に手を触れられた時、ポールがびくりとした表情を一瞬見せた。ライサンダーは目敏くそれを目撃したが、ドーマーが何に驚いたのかわからなかった。
JJがポールの隣に座った。手にフレンチフライの袋を持っていた。ポールにお土産を持って来たのだ。ジェリーがライサンダーに確かめた。
「こいつ、まだ何も食ってないんだろ?」
「うん。ハンバーガーをさっきの騒動で誰かに盗られたんだ。それに食欲がないって。」
「食わせなきゃ、体が保たん。こいつは明日になれば抗原注射が切れる。食べていないと本当に動けなくなるんだ。」
半分ポールにも言い聞かせているのだ。ライサンダーはJJに目でフレンチフライの礼を伝えた。それからジェリーが思った以上に心配りするヤツだと言う事実にも感心した。
JJにポールの食事を任せることにして、ライサンダーは運転する為に外へ出た。
ジェリーが先頭のトラックに彼と一緒に乗るようにと命じた。それから、残りのトラックの運転手たちに指示をして、捕虜のトラックを列の最後尾に順番を変更させた。
何故そんなことをするのか、ライサンダーは不思議に思った。しかし、ジェリーは自分の決定に他人が口をはさむことを好しとしなかった。
ライサンダーが運転席に座ると、ジェリーは助手席に座った。
「いいか、おまえがおかしな真似をしたら、JJと『氷の刃』を載せたトラックはすぐに別の道へ移動する。彼等はおまえに対する人質だ。そしておまえは彼等に対する人質だ。
俺が言っている意味がわかるな?」
「わかる。ちゃんと言われた通りに運転する。」
順番を変えたのは、そう言うことか。ライサンダーは溜息をついた。それから初めて運転する大型トレーラーを制御することに専念した。
カーオーディオから音楽が流れてくる。ジェリーの趣味なのか、かなり古い曲だが、歌声が心地よい。DJがリクエストを読み上げ、ジョークを飛ばす。こんな番組を流す局があったんだな、とライサンダーは平地の電波状況を羨ましく思った。山の家に居た頃は、電波状況が良くなくて、受信出来る局数が限られていた。アンテナを立てようとライサンダーが提案しても、ダリルは取り合わなかった。今思えば、アンテナで居場所を察知されることを心配していたのだろう。
父は息子を守る為に、どんなこともしてくれていた。しかし、息子が勝手に山を下りて遊びに行くのは防げなかった。緑色の髪の少年が山から下りて来ると、街で噂が広がるのを止められなかった。
今の事態を招いたのは、この俺自身なんだ・・・
ライサンダーは唇を噛み締めた。父親が無性に懐かしかった。
荷台に入ってポール・レイン・ドーマーが縛られたままで無傷であることも確認した。彼に手を触れられた時、ポールがびくりとした表情を一瞬見せた。ライサンダーは目敏くそれを目撃したが、ドーマーが何に驚いたのかわからなかった。
JJがポールの隣に座った。手にフレンチフライの袋を持っていた。ポールにお土産を持って来たのだ。ジェリーがライサンダーに確かめた。
「こいつ、まだ何も食ってないんだろ?」
「うん。ハンバーガーをさっきの騒動で誰かに盗られたんだ。それに食欲がないって。」
「食わせなきゃ、体が保たん。こいつは明日になれば抗原注射が切れる。食べていないと本当に動けなくなるんだ。」
半分ポールにも言い聞かせているのだ。ライサンダーはJJに目でフレンチフライの礼を伝えた。それからジェリーが思った以上に心配りするヤツだと言う事実にも感心した。
JJにポールの食事を任せることにして、ライサンダーは運転する為に外へ出た。
ジェリーが先頭のトラックに彼と一緒に乗るようにと命じた。それから、残りのトラックの運転手たちに指示をして、捕虜のトラックを列の最後尾に順番を変更させた。
何故そんなことをするのか、ライサンダーは不思議に思った。しかし、ジェリーは自分の決定に他人が口をはさむことを好しとしなかった。
ライサンダーが運転席に座ると、ジェリーは助手席に座った。
「いいか、おまえがおかしな真似をしたら、JJと『氷の刃』を載せたトラックはすぐに別の道へ移動する。彼等はおまえに対する人質だ。そしておまえは彼等に対する人質だ。
俺が言っている意味がわかるな?」
「わかる。ちゃんと言われた通りに運転する。」
順番を変えたのは、そう言うことか。ライサンダーは溜息をついた。それから初めて運転する大型トレーラーを制御することに専念した。
カーオーディオから音楽が流れてくる。ジェリーの趣味なのか、かなり古い曲だが、歌声が心地よい。DJがリクエストを読み上げ、ジョークを飛ばす。こんな番組を流す局があったんだな、とライサンダーは平地の電波状況を羨ましく思った。山の家に居た頃は、電波状況が良くなくて、受信出来る局数が限られていた。アンテナを立てようとライサンダーが提案しても、ダリルは取り合わなかった。今思えば、アンテナで居場所を察知されることを心配していたのだろう。
父は息子を守る為に、どんなこともしてくれていた。しかし、息子が勝手に山を下りて遊びに行くのは防げなかった。緑色の髪の少年が山から下りて来ると、街で噂が広がるのを止められなかった。
今の事態を招いたのは、この俺自身なんだ・・・
ライサンダーは唇を噛み締めた。父親が無性に懐かしかった。