2016年9月13日火曜日

JJのメッセージ 15

 アレクサンドル・キエフ・ドーマーは、室内にポール以外の人間がいたので、ちょっと表情を固くした。ジョージ・ルーカス・ドーマーは、年長者らしく、手にしたティーカップを持ち上げて、「よう!」と言った。キエフは第1チームの所属で、ジョージは第5チームのリーダーだ。キエフは仕方なく、上司であるジョージに挨拶した。
 ポール・レイン・ドーマーは、キエフにはお茶を出さなかった。

「それでは、持参した情報をさっさと投影しろ。」

 ジョージが自身のチップを取り出したので、キエフは衛星画像のチップを円卓に挿入した。ポールが必要な部分の選択をした。
 北米大陸の画像が出て、中西部に焦点を絞られ、先刻ジョージのチップが映像化したニューシカゴ近郊の詳細画像が出た。
早送りで見ていると、件の白い農家では、朝から数人の人間が車で出入りしているのがわかった。ポールはもう1度時間を戻して今朝からの画像を最大まで拡大して見た。
 動いているのは、全員男だ。太った男、細身の男、黒髪、金髪、白髪・・・

くそ、緑の髪の野郎がいやがる・・・

 コロニー人の高度な技術は、地上の人間の着衣までしっかり撮影していた。農夫と言うより、兵隊だな、と思った。銃を装備している男も数名。
 緑に輝く髪の男は細身で若い。動きが俊敏だ。車の運転席に乗り込み、同じ車にダークヘアーの男と白髪の男が乗り込んで外出。 2時間後に帰宅。
白髪の男は、他の人間たちから傅かれているかの様だ。農家の主人なのか? 何者だ?

 ポールは画像を消した。
 チップを抜き出し、キエフの手に、肌に触れないよう注意しながら落とし込んだ。

「ご苦労。」

 そして背中を向けた。キエフに、もう帰って良いよ、と態度で示したのだ。
キエフは、ジョージ・ルーカス・ドーマーを振り返った。ジョージはまだ座っていて、お茶を飲んでいた。 ポールがそんなジョージに声をかけた。

「君も休んだ方が良いな。そろそろ注射の効力が切れる頃だろう。」
「そうですが・・・」

 ジョージは時計を見た。

「お茶のお陰で、自力でアパートまで帰れそうです。ご馳走様でした。美味しかったです。どこでお買い求めに?」
「先月オールドタウンの支局へ行った時、26番街、アジア系の住民が多い地区だ、そこの食料品店で見つけた。パットの推薦の店だ。」
 
 パットは、中国系の若いドーマーだ。
 ポールは自身でジョージから空のカップを受け取った。
 キエフがまだ円卓のそばにいたので、ちょっと睨んで見せた。
キエフが尋ねた。

「チーフはまだセイヤーズと関係を続けていかれるおつもりですか?」

 立ち上がってドアまで来ていたジョージが、足を止めた。キエフの不作法を咎める目つきで睨んだ。
 ポールは感情的になるまいと努力して言った。

「俺が誰と付き合おうが、君には一切関係ない。」