遺伝子管理局が使用する銃は、地球人が製造し使用する火薬と鉛玉の銃とは異なる。
コロニー人が宇宙空間で使用する為に、宇宙空間の工場で製造した光線銃だ。そして、コロニー人は地球人に与える光線銃からは殺傷能力を削除しておいた。
つまり、遺伝子管理局は、人間の生命を守る組織なので、殺傷ではなく麻痺させて違反者を逮捕するのだ。
ポール・レイン・ドーマーは、己の銃の出力を「最微弱」に設定しておいた。
だから、照明を点け、床に倒れたダリルを抱え上げると、最初に目に入ったドアへ向かった。
ドアを開くと、そこは誰かの寝室で、ベッドと机と椅子と、クロゼットがあったが、実に簡素な部屋だった。ドーマーの少年尞より簡素だ。
そこが誰の部屋か考えなかったが、棚には玩具が置いてあったので、子供部屋だと察しがついた。だが、それがどうした？
ポールはダリルをベッドの上に寝かせると手錠を出し、ベッドの頭の部分の柵に片方を掛け、もう片方をダリルの利き腕の手首に掛けた。
それから、自分のスーツのポケットを探り、端末を出し、さらに小さな金属ケースを取りだし、そこから注射器を出した。
ダリルのシャツの袖を上げて肘まで出すと、血管に注射針を刺した。ダリルは麻痺して動けないだけで意識はあったので、針を刺されて喉の奥でくっと音をたてた。
「痛かったか？ すまんな。」
ポールはそんなにすまなそうには見えなかった。微量の血液を採取すると、テスト用の小さな薄い樹脂ボードに血液を染みこませ、それを端末のトレイに載せ、分析ソフトに掛けた。
これは、遺伝子管理局の局員なら誰でも出来る作業だ。地球人は、管理局の許可をもらって結婚するのだが、勿論恋愛と言うものが全て役所に管理出来る訳ではない。
既成事実を創ってしまってから許可申請するカップルだって、かなりの数いるのだ。
そんな場合、局員は、携行している端末で簡易審査をして、男女が結婚して子孫を残すのに支障のない健康状態であることを確認し、仮許可証を発行してやる。正式な手続きと許可証はドームに帰還してからの仕事だ。
ダリルの基本データはドームが持っている。 遺伝子に関する問題は・・・パスしない。端末は、彼が進化型１級遺伝子保有者だと明確に告げた。
ポールはその画面をダリルの目の前に掲げた。
「ほら、君は絶対にドームから出てはいかんのだよ。」
そして、次の、後天的要素分析結果を出した。ダリルは有害なウィルスにも寄生生物にも感染しておらず、危険値に達する被曝もしていない。
「君はいつだって、綺麗だな、体の内側も外見も。」
ポールは端末をポケットにしまい、上着を脱いだ。
ダリルは目を動かして、手錠を見た。後数分で麻痺が融ける。そうすれば関節を外して・・・
ポールは、ちゃんと時間を計算していた。素早く服を脱ぐと、次はダリルから着ている物を剥ぎ取った。ダリルが嫌がっているのを肌を通して感じたが、自分を抑制することをしなかった。
麻痺が融けて最初にダリルがたてた声は、短い悲鳴だった。
コロニー人が宇宙空間で使用する為に、宇宙空間の工場で製造した光線銃だ。そして、コロニー人は地球人に与える光線銃からは殺傷能力を削除しておいた。
つまり、遺伝子管理局は、人間の生命を守る組織なので、殺傷ではなく麻痺させて違反者を逮捕するのだ。
ポール・レイン・ドーマーは、己の銃の出力を「最微弱」に設定しておいた。
だから、照明を点け、床に倒れたダリルを抱え上げると、最初に目に入ったドアへ向かった。
ドアを開くと、そこは誰かの寝室で、ベッドと机と椅子と、クロゼットがあったが、実に簡素な部屋だった。ドーマーの少年尞より簡素だ。
そこが誰の部屋か考えなかったが、棚には玩具が置いてあったので、子供部屋だと察しがついた。だが、それがどうした？
ポールはダリルをベッドの上に寝かせると手錠を出し、ベッドの頭の部分の柵に片方を掛け、もう片方をダリルの利き腕の手首に掛けた。
それから、自分のスーツのポケットを探り、端末を出し、さらに小さな金属ケースを取りだし、そこから注射器を出した。
ダリルのシャツの袖を上げて肘まで出すと、血管に注射針を刺した。ダリルは麻痺して動けないだけで意識はあったので、針を刺されて喉の奥でくっと音をたてた。
「痛かったか？ すまんな。」
ポールはそんなにすまなそうには見えなかった。微量の血液を採取すると、テスト用の小さな薄い樹脂ボードに血液を染みこませ、それを端末のトレイに載せ、分析ソフトに掛けた。
これは、遺伝子管理局の局員なら誰でも出来る作業だ。地球人は、管理局の許可をもらって結婚するのだが、勿論恋愛と言うものが全て役所に管理出来る訳ではない。
既成事実を創ってしまってから許可申請するカップルだって、かなりの数いるのだ。
そんな場合、局員は、携行している端末で簡易審査をして、男女が結婚して子孫を残すのに支障のない健康状態であることを確認し、仮許可証を発行してやる。正式な手続きと許可証はドームに帰還してからの仕事だ。
ダリルの基本データはドームが持っている。 遺伝子に関する問題は・・・パスしない。端末は、彼が進化型１級遺伝子保有者だと明確に告げた。
ポールはその画面をダリルの目の前に掲げた。
「ほら、君は絶対にドームから出てはいかんのだよ。」
そして、次の、後天的要素分析結果を出した。ダリルは有害なウィルスにも寄生生物にも感染しておらず、危険値に達する被曝もしていない。
「君はいつだって、綺麗だな、体の内側も外見も。」
ポールは端末をポケットにしまい、上着を脱いだ。
ダリルは目を動かして、手錠を見た。後数分で麻痺が融ける。そうすれば関節を外して・・・
ポールは、ちゃんと時間を計算していた。素早く服を脱ぐと、次はダリルから着ている物を剥ぎ取った。ダリルが嫌がっているのを肌を通して感じたが、自分を抑制することをしなかった。
麻痺が融けて最初にダリルがたてた声は、短い悲鳴だった。
