2020年7月12日日曜日

蛇行する川 1   −12

「ちょっと良いですか?」

とハーローが話しかけてきた。シマロンとカリ刑事、ハイデッカーが振り向くと、ハーローは端末の時刻表示を示した。

「もう4時を過ぎています。 今から川へ行ったら、牛の舌に着く頃には現場は影になって暗いですよ。」

 ハーローは一見頼りなく見えるが、時々正論を言う。シマロンはカリを振り返った。

「行きますか?」

 カリはフォイルに視線を向けた。

「どうする、フォイル?」

 フォイルは口の中でちぇっと呟いて、それから意見を言った。

「装備をまた本部まで戻すのも無駄ですから、ここで一泊させて明日の早朝から始めましょう。俺は本部に戻りますけど、警部補はどうされます?」

 カリは肩をすくめた。

「私達2人ともが帰ってもバカみたいじゃない? 私は残って発見者に会ってみるわ。貴方は帰って構わないのよ。」
「それじゃ、そうさせてもらいます。」

 フォイルはシマロンを見た。

「鑑識班が泊まる場所はあるんだろうな?」
「事務所で良ければ・・・経費に問題なければホテルにでも行くか? 発見者と面接できるぞ。」

 木立の向こうにモッキングバードの赤い屋根が見えていた。フォイルは鑑識班の車の方へ歩いて行った。
 カリが端末を出した。

「ホテルに空き部屋があるかしら?」
「あるでしょう。満室になるシーズンじゃないから。」