2020年7月18日土曜日

蛇行する川 2   −7

 その日のランチのメインは魚料理で、3種類から好きな物を選ぶのだ。シマロンは肉の方が好きだが、魚しかないのでキャットフィッシュのフライを選んだ。すると何故か残りの3人も全員同じ物を注文した。

「キャットフィッシュがお好きなのですか?」
「そう言う訳じゃないが、食べたことがないので食べてみたいんだ。」
「僕もです。」
「僕はフライしか魚は食べないですよ。」

 ハーローがランチの誘いに乗ったことを後悔しているふりをして、一同を笑わせた。男4人で賑やかなランチを取った。ハーローが博士の落し物は何だったのかと尋ねたが、シマロンは博士の大事な物さと言って終わらせた。サルバトーレも物問いたげに博士を見たが、ボディガードは結局詮索しなかった。彼はいつもの様に別のテーブルに着こうとして、博士に強引に同席させられたのだ。

「保安官と保安官助手が同席しているんだ、君も一緒に座りなさい。」

そう言われるとボディガードは逆らえなかった。その上、出てきた料理の量が多いと言って、博士は自身の皿のキャットフィッシュフライを数切れサルバトーレに譲ってやったのだ。シマロンは父親が食事を分けてくれたことを思い出した。父親はケチだったが、息子に空腹な思いは決してさせなかった。シマロンの好物は皿にたっぷり盛り付けてくれた。
ケンウッド博士のサルバトーレに対する振る舞いは、上司が部下にするものではなく正に父親が息子にしてやる愛情表現だった。そしてサルバトーレは精悍な顔にちょっと照れた笑みを浮かべて恐縮していた。
 
「ところで・・・」

 と思い出した様に博士が質問した。

「この町にコロニー人は住み着いていないのかね?」