シマロンの端末に郡警察本部から連絡が入った。半時間後に鑑識と遺体回収の応援部隊が到着すると言う。シマロンはふと思うことがあって電話をかけて来た職員に尋ねた。
「捜査官は誰だ?」
「ええっと・・・フォイル刑事とカリ刑事です。」
シマロンは溜め息をついた。職員に有難うと言って電話を終えた。
カリ刑事はよく知らないが、ロバート・フォイル刑事は顔馴染みだ。但し友人ではない。仲良くしたいとは思わない。シマロンの様なタウンマーシャルを見下した感がある男だ。
どうせ川の中での捜査となるだろうから、泥だらけの仕事はフォイルに任せてしまおうとシマロンは思った。
ヴァンスが3人の客とハイデッカー相手に何か相談していた。何故ハイデッカーが彼等の話し合いに加わるのかわからないが、いつの間にかセッパー博士とも親しげに話を交わしている。
シマロンがそばに行くと、ヴァンスが振り向いた。
「お客さんをホテルに連れて行くが良いだろう? これ以上足止めしても何もないから。」
「うん、構わないさ。」
するとケンウッド博士がシマロンのそばに来た。彼が3人の中のリーダーなのだろうと見当はついた。年齢的にも雰囲気的にも、一番上位にいそうだ。
「今夜はモッキングバードに宿泊します。明日は適当な頃合いでサンダーハウスに引き揚げようと思いますが、よろしいですか?」
とても綺麗な英語だ。そして声音は柔らかで耳に心地よい。コロニーではこんな風に皆喋っているのだろうか。それともこの人は特別地位の高い家柄の出なのだろうか。
シマロンも出来るだけ丁寧に答えた。
「ご自由になさって構いません。発見時のお話は十分お聞きしましたから、もうお呼びだてすることもないでしょう。」
ケンウッド博士は微笑んだ。すると、ハイデッカーがシマロンに耳打ちした。
「博士と握手してもらえないかな、保安官。」
シマロンはハッとした。コロニー人から地球人に向かって手を出して握手を求めることはない。それは「地球人保護法」と言う奇妙な法律が存在するからだ。この法律では、地球人を宇宙の病原菌や犯罪から守る為に、コロニー人の方から地球人の肉体に接触してはいけないと定められている。シマロンには理解出来ない。地球にだって病原菌がいっぱいいるし、犯罪だって宇宙より多いかも知れない。何故肌に触れるだけで違法になるのか理解不能だ。しかし、この法律を守れば、コロニー人は親しくなったり、親しくなりたいと思った地球人に自分の方から握手を求めることが出来ないのだ。
ハイデッカーはケンウッド博士がシマロンと握手したがっていると判断した訳だ。だからシマロンの方から手を差し伸べてくれと言っているのだった。
シマロンは拒む理由がなかったし、ケンウッド博士の親しみ易い笑顔が気に入ったので、手を差し出した、博士が温かな手で握ってくれた。
「お仕事が上手くいきますように。」
「有難うございます。博士も・・・また遊びにいらして下さい。」
「私もまた来るわ。」
セッパー博士がケンウッド博士の隣に立ち、シマロンは女性に手を出すのは失礼ではないかと思いつつも手を差し出した。セッパー博士も柔らかな温かい手で握ってくれた。
サルバトーレはそばに来なかったが、こちらはハイデッカーと握手を交わしていた。それからシマロンに向き直り、彼の方から手を出したので、シマロンはちょっとびっくりした。するとセッパー博士が可笑しそうに笑った。
「サルバトーレさんは地球人ですよ、保安官。」
「それに博士ではありません。」
とサルバトーレが真面目な顔で言った。
「僕はケンウッド博士のボディガードです。」
「捜査官は誰だ?」
「ええっと・・・フォイル刑事とカリ刑事です。」
シマロンは溜め息をついた。職員に有難うと言って電話を終えた。
カリ刑事はよく知らないが、ロバート・フォイル刑事は顔馴染みだ。但し友人ではない。仲良くしたいとは思わない。シマロンの様なタウンマーシャルを見下した感がある男だ。
どうせ川の中での捜査となるだろうから、泥だらけの仕事はフォイルに任せてしまおうとシマロンは思った。
ヴァンスが3人の客とハイデッカー相手に何か相談していた。何故ハイデッカーが彼等の話し合いに加わるのかわからないが、いつの間にかセッパー博士とも親しげに話を交わしている。
シマロンがそばに行くと、ヴァンスが振り向いた。
「お客さんをホテルに連れて行くが良いだろう? これ以上足止めしても何もないから。」
「うん、構わないさ。」
するとケンウッド博士がシマロンのそばに来た。彼が3人の中のリーダーなのだろうと見当はついた。年齢的にも雰囲気的にも、一番上位にいそうだ。
「今夜はモッキングバードに宿泊します。明日は適当な頃合いでサンダーハウスに引き揚げようと思いますが、よろしいですか?」
とても綺麗な英語だ。そして声音は柔らかで耳に心地よい。コロニーではこんな風に皆喋っているのだろうか。それともこの人は特別地位の高い家柄の出なのだろうか。
シマロンも出来るだけ丁寧に答えた。
「ご自由になさって構いません。発見時のお話は十分お聞きしましたから、もうお呼びだてすることもないでしょう。」
ケンウッド博士は微笑んだ。すると、ハイデッカーがシマロンに耳打ちした。
「博士と握手してもらえないかな、保安官。」
シマロンはハッとした。コロニー人から地球人に向かって手を出して握手を求めることはない。それは「地球人保護法」と言う奇妙な法律が存在するからだ。この法律では、地球人を宇宙の病原菌や犯罪から守る為に、コロニー人の方から地球人の肉体に接触してはいけないと定められている。シマロンには理解出来ない。地球にだって病原菌がいっぱいいるし、犯罪だって宇宙より多いかも知れない。何故肌に触れるだけで違法になるのか理解不能だ。しかし、この法律を守れば、コロニー人は親しくなったり、親しくなりたいと思った地球人に自分の方から握手を求めることが出来ないのだ。
ハイデッカーはケンウッド博士がシマロンと握手したがっていると判断した訳だ。だからシマロンの方から手を差し伸べてくれと言っているのだった。
シマロンは拒む理由がなかったし、ケンウッド博士の親しみ易い笑顔が気に入ったので、手を差し出した、博士が温かな手で握ってくれた。
「お仕事が上手くいきますように。」
「有難うございます。博士も・・・また遊びにいらして下さい。」
「私もまた来るわ。」
セッパー博士がケンウッド博士の隣に立ち、シマロンは女性に手を出すのは失礼ではないかと思いつつも手を差し出した。セッパー博士も柔らかな温かい手で握ってくれた。
サルバトーレはそばに来なかったが、こちらはハイデッカーと握手を交わしていた。それからシマロンに向き直り、彼の方から手を出したので、シマロンはちょっとびっくりした。するとセッパー博士が可笑しそうに笑った。
「サルバトーレさんは地球人ですよ、保安官。」
「それに博士ではありません。」
とサルバトーレが真面目な顔で言った。
「僕はケンウッド博士のボディガードです。」