月の地球人類復活委員会本部の通信室でケンウッドはアメリカ・ドームに連絡をつけようと努力していた。何度かパスワードを入れてみたのだが、なかなか繋がらなかった。通信室の責任者は、地球周回軌道防衛隊がテロリストの通信を傍受する為に網を張っていて、通常の電波がなかなか通らないのだと説明した。
「我々も地球各所のドームに連絡を入れているのですが、なかなか繋がりません。もしかするとアフリカ・ドーム以外にも被害が出ているのかも知れない。」
「同時多発テロと言うことですか?」
ケンウッドは背筋にゾッとするものを感じた。あの素晴らしい惑星で悲惨な事件が起きている。勿論、地球の歴史は多くの血を流す戦いだらけだ。決して清いものではない。だが、この200年間、大異変で絶滅しかけた地球は、必死で蘇ろうと努力してきた。地球人達は国同士、異文化同士の争いを止めて、生き残ろうとしているのだ。それを宇宙から妨害するなど、言語道断だ。コロニー人は地球人の子孫じゃないか!
ケンウッドの脳裏にアメリカ・ドームの人々の顔が次々と浮かんだ。彼が愛するドーマー達、コロニー人の親友達、可愛い弟子達・・・
失いたくない
一刻も早く地球に帰って、彼等の無事を確認しなければ落ち着かない。
「ケンウッド博士、繋がりましたよ!」
係官の声に彼は我に返った。慌てて最寄りのモニターの前に座った。IDを叩くとすぐに画像が現れた。アーノルド・ベックマン保安課長だった。てっきり副長官のガブリエル・ブラコフか秘書のヴァンサン・ヴェルティエンが出ると思っていたので、ちょっと驚いた。
「アーノルド、アフリカ・ドームの事件を聞いたか?」
いきなり本題に入ろうとするケンウッドに、ベックマンが暗い表情で頷いた。
「知っています。ですから、副長官に注意をしようと思ったのですが・・・」
ケンウッドの胸に重いものが落ちてきた。彼は尋ねた。
「何かあったのか?」
ベックマンが少し間を置いてから、低い声で答えた。
「生化学実験室で爆発事故がありました。」
「爆発事故だと?! 」
ケンウッドは多分叫んでしまったのだ。通信室内に居た全員が彼を振り返った。
ベックマンが急いで補足した。
「まだ詳細は不明です。現在ドーム維持班が全力で救護に当たっています。生化学フロアは封鎖され、医療区は救急救命体制に入っています。」
「負傷者が出ているのだな?」
「私が受けた報告では、3名死亡、4名重傷です。」
そして保安課長は勇気を振り絞って長官に告げた。
「爆発現場に、ブラコフ副長官とハイネ局長がおられました。」
「我々も地球各所のドームに連絡を入れているのですが、なかなか繋がりません。もしかするとアフリカ・ドーム以外にも被害が出ているのかも知れない。」
「同時多発テロと言うことですか?」
ケンウッドは背筋にゾッとするものを感じた。あの素晴らしい惑星で悲惨な事件が起きている。勿論、地球の歴史は多くの血を流す戦いだらけだ。決して清いものではない。だが、この200年間、大異変で絶滅しかけた地球は、必死で蘇ろうと努力してきた。地球人達は国同士、異文化同士の争いを止めて、生き残ろうとしているのだ。それを宇宙から妨害するなど、言語道断だ。コロニー人は地球人の子孫じゃないか!
ケンウッドの脳裏にアメリカ・ドームの人々の顔が次々と浮かんだ。彼が愛するドーマー達、コロニー人の親友達、可愛い弟子達・・・
失いたくない
一刻も早く地球に帰って、彼等の無事を確認しなければ落ち着かない。
「ケンウッド博士、繋がりましたよ!」
係官の声に彼は我に返った。慌てて最寄りのモニターの前に座った。IDを叩くとすぐに画像が現れた。アーノルド・ベックマン保安課長だった。てっきり副長官のガブリエル・ブラコフか秘書のヴァンサン・ヴェルティエンが出ると思っていたので、ちょっと驚いた。
「アーノルド、アフリカ・ドームの事件を聞いたか?」
いきなり本題に入ろうとするケンウッドに、ベックマンが暗い表情で頷いた。
「知っています。ですから、副長官に注意をしようと思ったのですが・・・」
ケンウッドの胸に重いものが落ちてきた。彼は尋ねた。
「何かあったのか?」
ベックマンが少し間を置いてから、低い声で答えた。
「生化学実験室で爆発事故がありました。」
「爆発事故だと?! 」
ケンウッドは多分叫んでしまったのだ。通信室内に居た全員が彼を振り返った。
ベックマンが急いで補足した。
「まだ詳細は不明です。現在ドーム維持班が全力で救護に当たっています。生化学フロアは封鎖され、医療区は救急救命体制に入っています。」
「負傷者が出ているのだな?」
「私が受けた報告では、3名死亡、4名重傷です。」
そして保安課長は勇気を振り絞って長官に告げた。
「爆発現場に、ブラコフ副長官とハイネ局長がおられました。」