地球人類復活委員会本部の来賓室で眠れぬ「夜」を過ごしたニコラス・ケンウッドはぼんやりした頭を覚そうとロビーに降りた。コーヒーを注文したところに、ハナオカ委員長が1人の軍服姿の女性を伴って近づいて来た。彼女の顔は見覚えがあった。地球周回軌道防衛隊の司令官エリザベート・エルドラン将軍だ。
ハナオカ委員長は「おはよう」と挨拶して、将軍とケンウッドをそれぞれに紹介した。
「映像通信では出会っているそうだが、直接は初めてだろう?」
「確かに・・・」
エルドラン将軍はケンウッドを見て微笑んだ。
「実物の方がイケメンですね。」
「将軍からそんなことを言われるとは意外です。貴女もお綺麗ですよ。」
コーヒーが出て来たので、ケンウッドは2人に断って濃いコーヒーを口に入れた。
「それで、将軍が私にどんな御用ですか? テロリストを捕まえる手伝いをしろとでも?」
疲れていたので、ついぞんざいな口を利いてしまった。エルドランが肩をすくめるハナオカに目で合図した。ハナオカがすっと離れて行った。ケンウッドは彼がロビーの入り口近くに固まって立っている軍人達の方へ行くのを横目で見ていたが、将軍が咳払いしたので向き直った。
「この度のアメリカ・ドームの犠牲者の方々にはお悔やみ申し上げます。」
と将軍が言ったので、ケンウッドは仕方なく「ありがとうございます」と礼を言った。
「一刻も早く地球に帰って事態の収拾をつけたいのですがね。」
「勿論、お帰りになることは可能ですよ。」
将軍はハナオカが去った方向を見た。
「当方の捜査官が同行します。戦闘機はお嫌いだと思いますので、輸送機でお送りいたします。」
「はぁ?」
ケンウッドも将軍と同じ方向を見た。ハナオカが別の女性を伴って戻って来るところだった。女性は軍服を着ていた。位は軍曹だ。憲兵だな、とケンウッドは見当をつけた。
エルドランが紹介した。
「憲兵隊のカレン・ドナヒュー軍曹です。アメリカ・ドームでのテロ事件の捜査に当たります。」
ドナヒュー軍曹が敬礼して、ドナヒューです、と名乗った。仕方なくケンウッドも自己紹介した。
エルドランが説明を付け加えた。
「アフリカ・ドームのテロはかなり大きな爆発でドーム内の建造物の被害も広範囲に及んだのですが、アメリカ・ドームは部屋一つだけだったそうですね。異なる爆弾が用いられたのか、それとも上手く爆発しなかったのか、本当に2件は同一組織の犯行なのか、軍曹が調べます。」
ケンウッドは困った。ドームには遺伝子管理局内務捜査班が存在する。保安課もいる。そこに宇宙軍の憲兵が乗り込んで来るのか?
多分、断っても彼等は来るだろう。それにケンウッドは早く帰りたいのだ。軍が送ってくれると言うのなら、送ってもらおう。
「わかりました。しかし、ドームにはドームの捜査組織があります。彼等の権利を尊重していただきたい。地球では地球のルールでお願いします。」
「ケンウッド博士・・・」
ハナオカが困ったと言いたげに声を掛けた。
「これはアメリカ・ドームだけの問題じゃないぞ。」
「わかっています。」
「我々の仲間が殺されたのだ。」
「わかっています。私は捜査するなと言っているのではありません。」
「それなら、憲兵隊の捜査に協力してやってくれ。ドーマー達にも言い聞かせるのだ。何と言っても・・・」
ハナオカは何かを耐える様な表情をして言った。
「我々の大事な白いドーマーを傷つけたテロリストを許しておけんからな。」
ハナオカ委員長は「おはよう」と挨拶して、将軍とケンウッドをそれぞれに紹介した。
「映像通信では出会っているそうだが、直接は初めてだろう?」
「確かに・・・」
エルドラン将軍はケンウッドを見て微笑んだ。
「実物の方がイケメンですね。」
「将軍からそんなことを言われるとは意外です。貴女もお綺麗ですよ。」
コーヒーが出て来たので、ケンウッドは2人に断って濃いコーヒーを口に入れた。
「それで、将軍が私にどんな御用ですか? テロリストを捕まえる手伝いをしろとでも?」
疲れていたので、ついぞんざいな口を利いてしまった。エルドランが肩をすくめるハナオカに目で合図した。ハナオカがすっと離れて行った。ケンウッドは彼がロビーの入り口近くに固まって立っている軍人達の方へ行くのを横目で見ていたが、将軍が咳払いしたので向き直った。
「この度のアメリカ・ドームの犠牲者の方々にはお悔やみ申し上げます。」
と将軍が言ったので、ケンウッドは仕方なく「ありがとうございます」と礼を言った。
「一刻も早く地球に帰って事態の収拾をつけたいのですがね。」
「勿論、お帰りになることは可能ですよ。」
将軍はハナオカが去った方向を見た。
「当方の捜査官が同行します。戦闘機はお嫌いだと思いますので、輸送機でお送りいたします。」
「はぁ?」
ケンウッドも将軍と同じ方向を見た。ハナオカが別の女性を伴って戻って来るところだった。女性は軍服を着ていた。位は軍曹だ。憲兵だな、とケンウッドは見当をつけた。
エルドランが紹介した。
「憲兵隊のカレン・ドナヒュー軍曹です。アメリカ・ドームでのテロ事件の捜査に当たります。」
ドナヒュー軍曹が敬礼して、ドナヒューです、と名乗った。仕方なくケンウッドも自己紹介した。
エルドランが説明を付け加えた。
「アフリカ・ドームのテロはかなり大きな爆発でドーム内の建造物の被害も広範囲に及んだのですが、アメリカ・ドームは部屋一つだけだったそうですね。異なる爆弾が用いられたのか、それとも上手く爆発しなかったのか、本当に2件は同一組織の犯行なのか、軍曹が調べます。」
ケンウッドは困った。ドームには遺伝子管理局内務捜査班が存在する。保安課もいる。そこに宇宙軍の憲兵が乗り込んで来るのか?
多分、断っても彼等は来るだろう。それにケンウッドは早く帰りたいのだ。軍が送ってくれると言うのなら、送ってもらおう。
「わかりました。しかし、ドームにはドームの捜査組織があります。彼等の権利を尊重していただきたい。地球では地球のルールでお願いします。」
「ケンウッド博士・・・」
ハナオカが困ったと言いたげに声を掛けた。
「これはアメリカ・ドームだけの問題じゃないぞ。」
「わかっています。」
「我々の仲間が殺されたのだ。」
「わかっています。私は捜査するなと言っているのではありません。」
「それなら、憲兵隊の捜査に協力してやってくれ。ドーマー達にも言い聞かせるのだ。何と言っても・・・」
ハナオカは何かを耐える様な表情をして言った。
「我々の大事な白いドーマーを傷つけたテロリストを許しておけんからな。」