遺伝子管理局長の協力のお陰で、高温多湿に強く、また体力的にも頑丈な若者2人が「お勤め」を無事に果たした。1人は輸送班、1人は運動施設の管理整備員だった。
この「お勤め」を担当した執政官は正副長官2名で、それだけで中央研究所で働く人々は、コロニー人もドーマーも、今回の「お勤め」は重要な仕事なのだなと察した。
宇宙からの客は4日目にやって来た。2名の女性で、てっきり男性が来るものと思っていたアメリカ・ドームの住人達はちょっと驚いた。彼女達はケンウッド長官とブラコフ副長官の歓迎を受け、儀礼的にドームの施設見学をして、中央研究所の食堂でランチを食べた。
「地球の食材をいただくと暫くはコロニーの食事が不味く感じられる、と言う伝説は真実でしたのね。」
と彼女達はドームの食事を褒め称えた。ケンウッドもブラコフも自分達が食材を作った訳でも料理した訳でもないのに嬉しかった。
客が食事をしている間、食堂内にいたのはコロニー人ばかりで、しかも出産管理区の女性達が見えるはずのガラス張りの壁は「目隠しモード」になっており、地球人の姿が見えないようになっていた。勿論客はそんな仕掛けに気がつかなかった。地球人は見世物ではない、と言うケンウッドの考え方を、ドームで働く他のコロニー人達全員が支持してくれているのだ。客が目にするのは、忙しく働いているドーマーばかりだった。
グラッデンと名乗った女性が食堂内を見回した。
「確か、ローガン・ハイネはこちらのドームに住んでいるドーマーでしたわね?」
春分祭の中継を見てハイネのファンになったに違いない。バルトマンと名乗った女性も期待を込めて頷いた。
「そうよ、白い髪の地球人はここの人ですよね?」
ケンウッドが一瞬どう答えようかと迷って間を置いてしまったので、ブラコフが代わりに答えた。
「そうです。しかし残念ながら彼はご挨拶に出て来られません。」
「ちょっとお顔を拝見するのも出来ませんの?」
「遺伝子管理の仕事は大変重要かつ難しいのです。彼は毎日多忙で、我々も滅多に出会えません。春分祭の様な行事でもなければ彼は現れないのです。」
「ドームの中に住んでいるのに?」
「ええ・・・我々は彼の仕事の邪魔をしてはいけないと言う規則を守らねばなりません。」
「見学も駄目なの?」
「遺伝子管理局は地球人の役所です。コロニー人の立ち入りは法律で禁じられています。」
それは真実だった。もっとも執政官の中には顔パスで入ってしまう人間もいるが・・・。
「それじゃ・・・頭をツルツルにした若い人は?」
ポール・レイン・ドーマーだな、と見当はついたが、これも会わせる訳に行かなかった。何故なら・・・
「彼は今日はアラスカへ出張しています。」
「あら・・・がっかり。」
「可愛らしい南米の男の子がいましたよね? ラップの上手な背が高い、ドレッドヘアの・・・」
「彼もアラスカです。あの2人はコンビを組んでいまして、外回り中です。」
「まぁ、美男子がセットでお出かけ?」
他のハンサムなドーマー達も挙げられたが、どれも多忙なのだった。実際、ドーマー達は遊んでいる人間などいないのだ。そして彼等が仕事を終える夕刻には、彼女達は宇宙へ帰るのだ。
この「お勤め」を担当した執政官は正副長官2名で、それだけで中央研究所で働く人々は、コロニー人もドーマーも、今回の「お勤め」は重要な仕事なのだなと察した。
宇宙からの客は4日目にやって来た。2名の女性で、てっきり男性が来るものと思っていたアメリカ・ドームの住人達はちょっと驚いた。彼女達はケンウッド長官とブラコフ副長官の歓迎を受け、儀礼的にドームの施設見学をして、中央研究所の食堂でランチを食べた。
「地球の食材をいただくと暫くはコロニーの食事が不味く感じられる、と言う伝説は真実でしたのね。」
と彼女達はドームの食事を褒め称えた。ケンウッドもブラコフも自分達が食材を作った訳でも料理した訳でもないのに嬉しかった。
客が食事をしている間、食堂内にいたのはコロニー人ばかりで、しかも出産管理区の女性達が見えるはずのガラス張りの壁は「目隠しモード」になっており、地球人の姿が見えないようになっていた。勿論客はそんな仕掛けに気がつかなかった。地球人は見世物ではない、と言うケンウッドの考え方を、ドームで働く他のコロニー人達全員が支持してくれているのだ。客が目にするのは、忙しく働いているドーマーばかりだった。
グラッデンと名乗った女性が食堂内を見回した。
「確か、ローガン・ハイネはこちらのドームに住んでいるドーマーでしたわね?」
春分祭の中継を見てハイネのファンになったに違いない。バルトマンと名乗った女性も期待を込めて頷いた。
「そうよ、白い髪の地球人はここの人ですよね?」
ケンウッドが一瞬どう答えようかと迷って間を置いてしまったので、ブラコフが代わりに答えた。
「そうです。しかし残念ながら彼はご挨拶に出て来られません。」
「ちょっとお顔を拝見するのも出来ませんの?」
「遺伝子管理の仕事は大変重要かつ難しいのです。彼は毎日多忙で、我々も滅多に出会えません。春分祭の様な行事でもなければ彼は現れないのです。」
「ドームの中に住んでいるのに?」
「ええ・・・我々は彼の仕事の邪魔をしてはいけないと言う規則を守らねばなりません。」
「見学も駄目なの?」
「遺伝子管理局は地球人の役所です。コロニー人の立ち入りは法律で禁じられています。」
それは真実だった。もっとも執政官の中には顔パスで入ってしまう人間もいるが・・・。
「それじゃ・・・頭をツルツルにした若い人は?」
ポール・レイン・ドーマーだな、と見当はついたが、これも会わせる訳に行かなかった。何故なら・・・
「彼は今日はアラスカへ出張しています。」
「あら・・・がっかり。」
「可愛らしい南米の男の子がいましたよね? ラップの上手な背が高い、ドレッドヘアの・・・」
「彼もアラスカです。あの2人はコンビを組んでいまして、外回り中です。」
「まぁ、美男子がセットでお出かけ?」
他のハンサムなドーマー達も挙げられたが、どれも多忙なのだった。実際、ドーマー達は遊んでいる人間などいないのだ。そして彼等が仕事を終える夕刻には、彼女達は宇宙へ帰るのだ。